輝きの水面

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       海の奥底 そこは人魚の世界・・・
       暗いけれども 静かな 静かな・・・
       そして・・・ 何もない世界・・・

       見上げる水面は いつも明るく美しい
       見上げる世界は 憧れの世界・・・
       人魚は 見上げる事しか出来なかった・・・

       手の届かない 明るい世界・・・
       人魚は 手の届かない世界が見たかった・・・
       一度でいいから見たかったの・・・
       見たいの・・・

       人魚は どんどん進んでいった
       明るい世界目指し 水面へ水面へと・・・
       不思議と 恐怖はなかった・・・
       それは 明るい水面の正体の 
       目に見えない暖かさのせい?・・・

       ・・・やっと・・・やっと・・・
       未知の水面に 辿り着いた・・・
       見た事もない 不思議な光景だらけ・・・

       水面を照らしていたのは 誰?・・・
       人魚は 探す・・・
       けれども 眩しすぎて わからないわ・・・

       くすくすっ・・・
       どこかで 魚たちの笑い声が 聞こえる・・・

       「水面を照らしているのは 誰?」
       「ふふふっ・・・上をごらん」

       人魚は もっと眩しい上を 見上げた・・・
       あ・・・ あなただったの・・・
       水面を輝かせていたのは あなた・・・

       「太陽って 言うんだよ」
       一匹の魚が そう言った・・・

       太陽・・・輝きさんは 太陽さん・・・
       太陽さんだったのね・・・

       あたしは ここにずっといたいわ・・・

       「ダメだよ 君には君の世界がある・・・
        僕は いつでも照らしているから
        君が来れる時に いつでもおいで・・・」

       優しい太陽・・・ 暖かい太陽・・・
       人魚は頷き また海の底へと帰っていく・・・
       何度も何度も 振り返りながら・・・
       太陽は ずっと暖かい輝きで
       人魚を 見送ってくれた・・・

       優しい太陽・・・ 暖かい太陽・・・
       いつもいつも みんなを輝かせてくれている
       いつもいつも みんなを暖かくしてくれている
       人魚は 暖かい輝きに包まれて
       今日も 海底から 輝く水面を 見上げる・・・
       ずっとずっと 輝く水面を 見上げてる・・・

 

 

 

ぴんく☆さんから頂いた詩です。

見知らぬ世界への憧憬。そしてそこが自分を温かく迎えてくれた時の喜び。
そんな優しいものを感じさせてくれる詩ですね。
「何度も何度も降り返りながら・・・」ってとこが好きです。
ありがとうございました。

イラストは、ちょっと小さいけど私が昔描いたものです。
ちょうどこの詩にピッタリなのがあったので載せてみました。