第一章 「シアワセ・打ち合わせ・衣装合わせ」

 

 

決戦は2007年3月25日。

なにぶん旦那は岐阜の人、ヨメは北海道の人なので、双方の親族をいっぺんに集めるのはかなり厳しい。
必然的にそれぞれの地元で都合2回行なうことになった。2倍の出費。誰だ北海道の娘なんかと結婚するメイワク野郎は。(俺だ)

とりあえず”札幌場所”を3月に、”岐阜場所”は5月あたり(予定)とし計画を進めることにした。

 

札幌場所のプランは殆どヨメ側に任せっきりである。
日時と会場を押さえ、だいたいの招待者もリストアップ。
TAC側の参列者は両親・妹家族×2・親友家族×2・ネ友2名。・・・当然残りの8割以上がヨメ側の親族・友人である。
この時点でネタを仕込む事は諦めた(当たり前)。俺もまだまだだな、と思う。

 

しかし「フツーの式」だからと言って決めなければならない事はまだまだ山ほどある。
「2月中に一回コッチ来やがれ」というカノジョからの命を受け、第4土日の連休を利用して北海道に行く事になった。


2月23日(金)。

仕事を早めに上がらせてもらい、荷物をまとめて車で岐阜駅へ。そこに車を停め、あとは名鉄で中部国際空港セントレアへ。
いつものパターンである。さすがに北海道は日帰りがキツイので、向こうへ行くのは月に一度の週休二日がある第四週といつも決まっている。出発は金曜の最終便で飛び、二泊して日曜の最終便で帰るのだ。
このパターンで北海道行くのは、独身ではきっとこれが最後かな・・・。
新千歳空港から札幌駅に向かう電車に揺られながら、そんな事を考えていた。

ええ、もちろん二度とで行く気はありませんし。フェリーには懲りた。(←百鬼夜号計画最終章参照)

 

今年は暖冬。岐阜はもう既に春めいてきているくらい暖かかったが、さすが北海道はまだ雪まるけ。さヴい。

カノジョの家に着いたのは日付けも変わろうとしている夜更けだった。 父上様と彼女の兄弟(実はまだ会った事がない)はもう寝ているらしく、カノジョとお母様が迎えてくれた。
カノジョが作ったという一週間遅れのバレンタインケーキを喰らい、早々に寝る事にする。明日はホテルで打ち合わせ&衣装合わせ。今夜はココに泊めて貰うのだ。

 

 

この家を訪れたのは今回が二度目だが、前回は挨拶だけですぐ帰ったので宿泊はもちろん、カノジョの部屋に入るのも今回が初めて。今だから言わせて貰うと、結婚式の打ち合わせなんかよりコッチの方が俺にとってはメインイベント。
・・・女の子の部屋って、どーなってるの?ドキドキしながら部屋に入る。

 

 

 

 

 

 

(画像はイメージです)

 

 

 

 

 

 

 

戦場。

 

一瞬、空爆されたハノイにでも迷い込んだのかとオモた。

 

・・・これでも一応、いつもよりは片付いているという。
今回TACが泊まるという事で、足の踏み場も無かった床の一部にとりあえず布団を一枚敷けるだけのスペースを確保したのだとか。その努力は認めてあげるとしても、雑然としたTACの部屋がロイヤルスウィートに思えるほどにそこはモノが溢れていた。 向かって右側の壁にはどうやら学習机が置いてあるようなのだが、うず高く積み上げられた漫画本等に完全に埋もれて姿は見えない。

過去幾度か彼女との間で「俺をアンタの部屋に入れろ。ガサ入れしちゃる」「断固拒否する」というやり取りがあったが、確かにコレでは「ガサ入れ」は不可能だろう。「発掘」に近い。

 

 

 

 

「片付けられない症候群」とは聞いていたが・・・

結婚後の新居がどのようーな惨状と化すのか想像しただけで夜もグッスリ。

 


2月24日(土)。

いつまでもダラダラと惰眠を貪り、起きたのは昼近く。
カノジョの兄さん、弟クンともに出勤。また会えず。そのまま御両親と昼飯を食いに回転寿司屋へ行kうわコレうめ〜〜〜〜〜つぶ貝うめ〜〜〜〜。(岐阜の寿司屋では聞いたことないネタ多数)

会場「ポールスター札幌」に着いたのは14時頃だった。

このホテルは札幌駅からも程近く、旧札幌市役所(通称:赤レンガ)の真ん前にある。
カノジョがいくつかの候補から最終的にこのホテルを選んだ理由は「衣装が選び放題だった。あとね、りょーりがソコソコ旨かった」とのこと。
ソコソコて。

TACは当然初めての来訪である。まず担当ブライダルコーディネーターの小池さんと面通しするため、クラーク隣のサロンへ。
小池さんは、ドラマ「温泉に行こう」の主役で知られる女優「加藤貴子」似のチャキチャキ美女。テレビを観ないTACは気付かなかったが、声までソックリだという。(カノジョ談)
とりあえず衣装合わせの時間まで、3人で簡単な打ち合わせをすることにした。

式はチャペルウェディング。披露宴は60人前後が入れる小さめのホール。

 

その他決めなければならない事。

 

 

 

小池さん
「あ。あとですねぇ・・・御二人の簡単なプロフィールなどを記したカードを各席に配する予定なんですよ。こちらで用意してもいいんですけど、自分達で工夫したオリジナルのをお作りになってもよろしいんですよ?どうなさいます?」

カノジョ
「せめてこれくらいはテメェ作りやがれ(涙目)

TAC
「・・・ハイ」

断れるハズもない。
残り一ヶ月しか時間が無いが、なんとかやってみよう。TAC、プロフィールカード担当ケテーイ。

 

 

衣装合わせの為に衣装室へ移動。


カノジョは既に何度もココに来て多くのドレスを試着している。
和装は既に決定済み。最終候補に絞られた白ドレスが三着、色ドレスが二着。
これらを今日決定するつもりらしい。

・・・実は今回の披露宴、定番っちゃ定番なのだが余興として「ドレス色当てクイズ」を予定している。
お色直し後の新婦のドレスの色を投票形式で皆に選んでもらい、正解者の中から抽選で何名かに粗品を進呈するアレだ。

新婦の色ドレスが決まると、デザインが被らないよう自動的に白ドレスが決まる。
そして白ドレスが決まってようやく、それに合うような新郎のタキシードが決まるのである。

 

 

はい、つまり新郎に選択権は微塵もありません。
そーゆーもんです。所詮は新婦の引き立て役ですから。

 

 

正解の色ドレスはにケテ〜イ。
うん、なかなかイカすぞ。いつもどっかの民族衣装みたいなアヤしい服ばかり着てるヒトだからとても新鮮だ。おおっ、そーいえばキミもしかして化粧してるじゃないか!?付き合い始めて三年超・・・いつもせいぜい口紅テキトーに塗って唇ンパンパしただけで外出するよーなヒトだから、フルメイクした顔は見るの初めてだぞ。(←ちょっと問題)

 

着付けの人
「奥さんホントに綺麗ですねー。なんだか国生さゆりに似てません?」

 

 

 

・・・・・・・・・・・・・・・

い、言われてみれぶぁっっ!!!(飛唾)

確かに似てるぞ国生さゆり!!
♪あしたはとくべつすぺしゃーでーい、いちねんいちどのちゃんーすー♪の国生さゆり!!
ドラマ「しゃぼんだま(1991:フジTV)の中で長渕剛と淫らに絡み合ってた国生さゆり!!
今まで全然気付かんかった!だって
化粧した顔初めて見るんだもん!!
(←やっぱり問題)

 


「このドレス、模様がイイよな。なんかさ、水底に沈んでるドザエモンの揺らめく髪みたいで」
カノジョ
「そうそう!私もそう思ってた!!」
着付けの人
「・・・・・・・・・・・・」

 

(↑二人とも大問題)

 

 

ちなみにTACのタキシードは「それどう?」「ノーマンタイ」「ピッタリ?」「うん」「はい、じゃ決まりね☆」と、ホント5秒くらいで決定。うん、そーゆーもんですってば。


その夜は小樽に移動。

以前にも紹介した旅人の宿「舎(やまきち)とまや」――――実は結婚式当日の夜、カノジョの友人たちを集めてココで二次会を開いてもらえる予定なのだ。
その打ち合わせを兼ねて、今晩はココに宿泊するのだ。
でも打ち合わせはオーナーベルさんの、「まあ、うまくやっとくから。任せて」の一言で終了。ホント5秒くらいで終了。うん、そーゆーもん・・・・・・・・なのか?

 

 

タイミング良い事に、今夜はカノジョの友人ダベさんが経営する「キッチンぐるぐる」6周年パーティーということで、飛び入りで参加させていただいた。ここはベルさんの音楽仲間が集うライブ会場にもなる場所で、小樽一パスタが旨い店である。
店の作りも落ち着いた感じの実に良い店である。

多くの常連客で大賑わい。しこたま食ってしこたま飲んでしこたま話した。
隣に座ったぐるぐるお抱えマジシャンにゃべし君と話が盛り上がり、アッと驚く手品のタネをこっそり見せてもらったりと、大変楽しい時間を過ごさせてもらった。

ダベさん、ぐるぐる6周年おめでとうございます!

 

 

 

それにしてもこの時期の小樽はさすがに雪深い。
ぐるぐるへの行きも帰りも、タクシーが常時ズリズリドリフト状態。スリルで眠気も酔いも吹っ飛んだ。

しかしカノジョよ。
アンタ道産子なんだからスリップのたびに悲鳴上げんのヤメんかい。

 

 

 

 

 

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