影を入れる!
お次はシャドウ(影)を描き込んで、今までおぼろげだった部分を少しづつカタチにしていくよ。
影を描くにはまず光を知らねばならない。うん、ボク今いいこと言ったよね。惚れるよね。
まず「この絵はどっちの方向から光が当たってるのか」を確認し、その反対側にある下描き線を強調する要領でスタート。
光源側に近づくにつれ少しづつハンドピースを遠ざけて自然なグラデーションになるようにしよ〜。
ここで覚えておいて欲しい事は、「影=黒」と思わないこと!
完全な「闇」を描く場合ならまだしも、光が当たって生じる数多の影に「真っ黒」なものはまず存在しない。その物体が黄色なら暗い黄色、赤なら暗い赤・・・というふうに、あくまでその色が暗くなるだけだ。限りなく黒に近くとも黒ではないんだ よ。
シャドウはベース色を徐々に濃くしたものを重ねていき、最後に乗せる色にだけ黒を適量混合させるくらいがちょうどいいよ。 完全な黒はちょっとしたアクセントのつもりで。
右側の木の不気味な根、その下の「音の国」の部分がハッキリしてきたね。
あと、人物の服や髪・ドラゴンにも影が入ったのがわかるかな?氷柱の奥の暗がりにも入れてるよ。
少しエラそーな事を言わせてもらうと、「絵を描く」という行為はイコール「影を描く」行為だと思うんだ。ボクの自論ネ。 そもそも世の全てのモノに「輪郭線」なんて存在しない。どれも面と面・面と立体・立体と立体が重なった時に出来る影だ。だったら影を上手く描く事が絵を上手に描く事に繋がると思うんだ。
エアブラシの魅力は何かと問われたなら、「影を描くのにとても便利な道具」と答える。理由は紙の上にでも一発吹いてみればすぐわかる。
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ホワイトを入れる!
さあ、今度は白の登場だ。
描き込みも中盤に入れば、シャドウとホワイトの応酬になる。シャドウが「造形」ならホワイトは「整形」かな。
光が反射している場所(ハイライト)や瞳の星など、白を入れると絵が”締まる”というか・・・入れる前と随分印象が変わるよ。特に瞳は、星を入れた途端さっきまで死魚のようだった虚ろな目がイキイキと輝きだす。文字通り、命が宿る。
絵描きにはたまらない瞬間だ。
これは金髪の部分だね。
髪と睫毛は想像しうるもっとも細い線だ。気合を入れて、しかし流れるように、舞うように。
先に入れた「影」の位置と矛盾しないように気をつけれ。
ホワイトはその効果の顕著さからか、つい調子こいてやりすぎてしまう傾向がある。パチンコと同様で、「ああ、あそこでやめときゃよかった!」となる事もしばしば。人間、引き際が肝心だよ。
過ぎたるは、なお及ばざるが如し。
腹八分目に親知らずだよ!←?
ホワイトはまた、「消しゴム」の役割も果たす。
基本的にブラシは修正がきかないこと前提で慎重に作業を進めるのが理想なんだけど、そうも言ってられないよね。誤魔化しがきかないレベルのミスをしちゃったら、とりあえず最終手段として白で塗りつぶそう。
しかし修正後、周りとの違和感がなくなるように再び色を乗せていくのがなかなか難しい。経験と勘と・・・あとは運と愛だ。
修正後の「氷の女王」様。(→)
上の方の写真と比べてみよう。
目に虫が入ったかのような顔だったのが、だいぶマシになったね!
左下の「鏡の国」では、鏡をブチ破って飛び出す鳥が描かれている。
割れて飛び散った破片もホワイトで描いてみた。
ここはマスキングを使っている。
ボクは基本的にフリーハンドブラッシングの「柔らかい線」にこだわってるんだけど、例えばメカ物のように「クッキリとした線」が必要な時はやはりマスキングに頼るしかない。
破片の一つ一つ毎にマスキングシートを切り抜いて使う。デザインナイフによるカッティング技術はエアブラシに必要不可欠だよ。
統計によるとヤンキー出身者に得意な人が多いみたいだよ!
マスキングシートについて、少し触れておこう。
一般に「マスキングシート」と呼ばれてるものは、カッティングの際に下の絵が見えてないと困るので透明だ。絵の上に貼って、色を塗りたい部分をデザインナイフで切り抜いて使う。
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ドラゴンのブレスと雲などを描き、だいぶ完成に近づいてきた。