第九章 「収穫祭――ヨメの欲情」
『結婚すべきかしないべきかと問われたら
私は、どちらにしても後悔するだろうと答える』
『君がもし良い妻を持ったなら幸せ者になれるだろうし、
悪い妻を持ったなら哲学者になれるだろう』
by ソクラテス
・・・テメェ、喧嘩売ってんのか。
TACです。
さて、やっとこ二つの披露宴が終わり・・・本格的な新婚生活というか、日常が戻ってきました。
ヨメはTACより少し早く起床して朝食を作り、起こしに来てくれます。
食べ終わって歯を磨いて、8:15頃TAC出勤。月曜と木曜はゴミ出しを託されます。
TACが仕事中、ヨメは洗濯したり掃除したり買い物したり。
時々工場まで来て電話番などの手伝いもしてくれます。
帰宅すると、ヨメはちゃんと夕食を作って待ってくれています。
料理好きな兄弟がいた影響か、もともと作ることが嫌いではないらしくテレビの料理番組などは録画してレシピをメモるなど割と研究熱心。工場の脇に自生していた巨大なヘチマを持ち帰って
調理しちゃったこともあります。
得意料理はゴーヤチャンプルーと軟骨入りつくね鍋。他にもいくつか「殿堂入り」のレパートリーがあります。
ヨメにとっては慣れない岐阜での生活・・・・・実際、ホントによくやってくれてると思います。
ただ、やはり「部屋の片付け」はどうも苦手なようでして。
彼女の行動をよく観察してみると、まず出したものを元の位置に戻す事が出来ない。
メモ用紙、郵便物、卓上コンロ、髪飾り、カバンなど、一度食卓の上に置かれた物は最低3日はその場所から動かない。そして日を追うごとに新しいモノが追加されてその数は増えていき、食事をするスペースを徐々に圧迫していく。
床もまた然り。3日前、外出から帰ってきて最初に肩から下ろしたリュックサックがまだそこに置きっぱなしだったりする。
我が家は2LDK。つまり、キッチンとリビングの他には和室と洋室の二部屋しかない。
洋室を寝室に当て、和室は来客宿泊用――つまり、普段は使わないようにしている。
ヨメが「片付けられない症候群」であることをよく知っていたTACは、結婚前に彼女とこう約束していた。
「洋室は俺たちの寝室だから、基本誰にも見せないエリアだ。ここを、君のために『魔窟』として開放する。ココだけはどれだけ汚しても散らかしても構わん。処置に困ったものは何でもココに放り込めばいい。
だから頼む。リビングと和室だけは死守してほしい。
いつ、誰が突然来訪しても大丈夫なように、この二部屋だけはいつも綺麗にしていてくれ。頼むから!」
――そんなわけで、引越しで運び込んだダンボールや衣服類などありとあらゆるものが詰め込まれた魔窟は実際エライことになっている。
どういう状況か簡単に説明すると・・・・・・・
(画像はイメージです)
もんじゃ焼き。
・・・えーと・・・、ちょっと例えが判り難かったですかね?
よーするに、土手が出来てるわけですよ。土手。
部屋の中央に敷いてある布団を取り囲むように、いろんな荷物で土手が築かれてるわけですよ。スゴイでしょ。
しかしこの魔窟、ちょっと目を離すとアッという間に他の領域にも侵蝕を開始するのでホント油断できない。
実際、早くもリビングが今その危険にさらされている。
収穫祭
ヨメはこの「コメド摘み」を収穫祭と呼ぶ。ほとんど趣味に近い。
ホント楽しそーにやっているので最近では風呂上りや寝る前の日課となっている。
・・・しかしヨメよ。
稀に大物が取れた時、セロテープの上にコレクションしよーとするのはヤメなさい。
ヨメのWii〜な日々
話が多少前後するが、岐阜場所前日Cruise襲撃の時のこと。
駆けつけてくれたメンバーの一人、ライネスくんがTACにそっと寄ってきてこう告げた。
「TACさん、後日結婚祝いを送りたいと思うんですけど、送り先は妖怪掛軸のサイトにある住所で良かったですかね?」
彼とはナマで会ったのが今回で2回目。最初に会ったのは下呂オフだから、もうかれこれ5年くらい前。
つまり、まだそんなに親しい間柄というわけではない。
TAC
「ありがとう。でもそんなに気ィ遣わなくていいって。ここまで来てくれただけで十分嬉しいんだからさ」
ライちゃん
「いやいや是非贈らせてください。で、その送るブツの件なんですけど・・・例のアレでよろし?」
TAC
「・・・アレというと・・・?」
ライちゃん
「ほら・・・今けっこう話題になってて・・・入手困難で・・・白くて四角い・・・・アレですよ」
ライちゃんは生粋のゲーマーである。
というか、やるだけではなくむしろ作っちゃうくらいの人である。(ライネス君のサイトDual Blue)
そんな彼が言う「白くて四角い当時入手困難な話題のアレ」といったら、アレしかなかった。
そう、Nintendo Wiiである。
TAC
「え?マジでアレくれんの??高くね?」
ライちゃん
「アレなら豆腐二丁くらいの大きさがあるのでブラシのキャンバスにもなりますよ。何か描いてくださいね」
彼のこの言葉を聞いたこの時点で――、
彼の贈り物は豆腐だと確信した。
すまん、ライちゃん。俺だって君の事を最初から疑っていたワケじゃないんだ。
でも君は・・・他ならぬあの「Cruise」のメンバーだからさ・・・絶対ネタに走る。走らないワケがないと思ったんだ。
俺がここまで人を素直に信用できなくなったのは他でもない、「Cruise」のみんなのおかげ。そして特にここ数年、オンオフ問わず散々嵌められ、弄り倒され、笑われることで育まれた・・・俺のネット人生の賜物なのだ。(多くはただの墓穴だったが)
きっとマジックで「うぃ〜」と書かれた豆腐に違いない。
当時ヘンな豆腐が話題になって一時期入手困難だったようだし、絶対それに違いない・・・・・ずっとそう信じていた。
そしてホントに豆腐が送られてきた暁には、意地でもその表面にブラシで妖怪でも描いて、ネタとしてアップしてやろうと覚悟をキメていた。
――だから後日、彼から送られてきた包みを開封して出てきたこの箱を確認した時でさえ、
中身は豆腐だと信じて疑わなかった。
なんでクール宅急便じゃないんだろう?と、怪訝に思ったりもした。(←もはや病気)
ゴメン。本物だった。
しかもなんと「はじめてのWii」とセット!
ライちゃん許してくれ。そしてホントにありがとう。夫婦ともども楽しませてもらってるよ。
踊るヨメ
ヨメが作ったTACのMii(Wii上でのプレイヤー似顔絵)。オデコがちょっとあんまりです。
初代プレイステーション以来、とんとゲーム機からは遠ざかっていたTACだが・・・うん、確かにコレ面白いわ。来客接待用パーティゲームとして最適。
想像よりずっとコントローラーの感度イイしな。
そしてヨメは――ある日衝動買いした「ドラゴンクエスト・ソード」にあっさりとハマった。
Wiiは、往々にしてゲーム画面よりもプレイしている人間の姿を見ていた方が面白い。
しかし、ヨメのアグレッシブに過ぎる豪快なプレイは、いつかアパートの底を抜くんじゃないかと心配になる。
様々な試行錯誤の末・・・ヨメが辿り着いたドラクエの理想プレイスタイルは以下のようなものだった。
バランスボールの上でボヨンボヨン跳ねながら、ヘロヘロとコントローラーを振るヨメの後姿は、面白いを通り過ぎてなんだか哀愁漂うモノがあ る。
新曲?
さて、披露宴参列者に限定で配布された「濃幌新聞」の事を覚えているだろうか。
第二章でちょっと触れたが、数々のアホくさい記事が並ぶこの新聞の一角にこんなコーナーがあった。
今月の新譜【CD Now】
『顔はやめて グーはやめて』 TAC (USONY-Record)
言うまでもない事だが、もちろんそんな曲は存在しない。
ウケ狙いで書いた、完全なジョーク記事である。
――しかし。
「たくさんの歌」を作曲してくれたドリル水色のブータンがある日、TACに言ってきた。
「『顔はやめて グーはやめて』の歌詞をください。僕、曲作ります」
ま ぢ で す か 。
・・・いや、作詞なんてもちろんやった事ないし、そんなセンスが自分にあるとも思っちゃいないが。
せっかくの機会だから書いてみた。
『顔はやめて グーはやめて』 作詞:TAC 作曲:ブータン
立ちのぼる湯気 幸せな朝
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こーゆーコトばっかやってるからMだとか言われるんだ。>俺
イントロからAメロは落ち着いたバラード調に。
「なーんて・・・」で十分タメてから、一気に高速でサビを駆け抜ける・・・そんなイメージで書いてみたのだが。
ブータンのヤロウ、なんかホントに作りやがってくださいました。
TACはまだ未聴なのだが、デモテープを聴いたぼっくん曰く「なかなかの名曲」だそうな。
なんとブータンの奥さんも「語り」で参加してくれた模様。
予定が合い次第レコーディングに入るそうなので、この「顔はやめて グーはやめて」が近々CDリリースするかもしれません。