妖怪・・・大変そう

 


「妖怪大戦争」を観に行く!
三次もののけ祭り二日目の予定、実はこれだけです。

朝起きて、くまちゃんと一緒に朝飯食って、宿のオバちゃんに「朝霧の巫女御守り」貰って、くまちゃんの命令で無理矢理シャワー浴びて(昨日あれだけ汗かいたにも関わらず風呂入ってなかったオトコ)、荷物まとめてチェックアウト。
くまちゃんの車に乗って会場に向かう。

 

 

 

何を勘違いしていたのか、人っ子一人いやしない三次文化会館に着いてしまう二人。

会場間違えてました。CCプラザって、反対方向にあるデパートやん。
「しっかりナビせんかい!!」と、くまちゃんにボコられる。

 

やっとこ着いたCCプラザでもいきなり道に迷う二人。

案内板で上映会場の大ホールが3階にあることを確認し、階段登って辿りついた3階には何故か「会議室」のドアが一枚。

TAC
「・・・これ、訓読みでも”大ホール”とは読めんよな」
くま
「読めるかい」
TAC
「どないなっとんねん。アンタここ来たことあるんだろが」
くま
「だって10年以上前だもん!」
TAC
「・・・もはや初めて来たと言ってもいいブランクだなそりゃ・・・」
くま
「たぶん増築に次ぐ増築で迷宮化したんだよ。ボクたち遭難したんだよ!」
TAC
「ンなこたええからしっかりナビせんかい!!

と、くまちゃんにボコられる。ってなんで俺が。

 

 

・・・なんとか上映時間には間に合いました。

 

 

【感想】

TACが勝手に「タイタニック効果」と呼んでいるのだが。
大仰な前評判を鵜呑みにして過剰な期待のもと観に行ったら実は拍子抜け・・・というパターンが映画には多くある。
そういう意味ではこの映画、「逆タイタニック効果」でそこそこ楽しめた。
いや、マジであまり期待はしてなかったのだ。夏休みの子供向け映画だと思っていたので。

ストーリーがツッコミどころ満載なのは、まあこのテの映画のお約束として。
キャストは豪華だし、笑いのツボもちゃんと押えてるし、CGも邦画としてはかなり頑張っている。肝心の妖怪描写も(一部の隠しきれない着ぐるみ臭さを除けば)好感持てるデザインだったと思う。
この映画を観る当初の目的は、境港でロケした「主人公が水木しげるロードを歩くシーン」でエキストラの中に入道さんの姿を確認すること だけだったが、純粋に娯楽作品としても楽しむことが出来てオトク感。
とりあえずDVDは買う予定だ。

 

 

(こっから先はネタバレ注意)

よーするにとても判りやすい勧善懲悪モノである。
東京から鳥取の田舎に越してきた気弱な少年タダシ(神木隆之介)が、地元の祭りで偶然「麒麟送子」という”平和を守る勇者”に選ばれてしまったのをキッカケに、天狗山に眠る聖剣妖怪たちの協力を得て悪に立ち向かうという物語だ。
敵は人類滅亡を目論む魔人・加藤(豊川悦司)と、彼が率いる機怪の軍団。機怪とは、人々に捨てられた大量の廃棄物に宿った怨念ヨモツモノと拉致された妖怪を融合して造られる人工の魔物である。この設定はなかなか面白い。

冒頭の馬小屋のシーンで、くだん(馬の腹から生まれ、予言を残してすぐ死んでしまう妖怪)のおぞましい姿と呻き声が観ているガキどもをいきなりドン引きさせる。ここですでにこの映画が実は子供向け映画ではなかったと気付かされる。
そもそも振り返ってみればこの映画、割と残酷なシーンが多い。機怪に襲われる人々、溶鉱炉で熔かされる妖怪たち・・・極めつけは巨大な機怪工場となったヨモツモノの集合体が首都・東京にそのまま覆いかぶさるように着陸するのである。もちろん首都は壊滅。エンディングシーンから察するに、廃墟となった東京で生き残ったのはタダシと編集者・佐田(雨上がり決死隊・宮迫)の他はほとんどいない模様。つまり、推測される犠牲者の数でいえば「インディペンデンス・デイ」級の大量殺戮映画なのである。これが子供向けなワケがない。

しかし映画全体の雰囲気はあくまでライト。とても軽い。
ストーリー展開のテンポが良く、随所に散りばめられたナンセンスギャグが笑いとちょっとした安心感を誘う。
特に阿部サダヲ扮する河童の川太郎の存在は大きかった。岩に挟まれてペシャンコになるなど、その振る舞いはとにかくコテコテで漫画的。一番ツボったセリフは、ぬらりひょん(忌野清志郎)にヨモツモノとの対決を呼びかけられ、そそくさと去っていく妖怪たちを必死に引き止めようとするシーンで、

(逃げようとする一反もめんを柱に縛りつけながら)
「お、おまえ・・・鬼太郎の前では結構イイ顔しとるそうやないかいっ!!」

とても笑った。
ぬらりひょんが油すまし(竹中直人)に言った「おまえ、頭デケェよ!」説得力無さ過ぎで笑った。

 

 

あのオチに関してはいろいろ意見もあるだろう。
だいたいタダシ、主人公のくせに最後の加藤との決着にほとんど関わってないし。
東京を救ったのは結局、佐田と小豆洗い(ナインティナイン・岡村)一粒の豆だし。
しかもそれは偶然の事故だし。

・・・まあ、シリアスに盛り上げといて笑いでオトすというのも、オレ的にはアリかな?

 

 

 

観終わったあと、くまちゃんに「どうだった?」と感想を聞いてみる。

総合評価を以下のようなグラフで表した場合・・・、

彼女の評価はこうだった。

全てがそこに集約

このアマ本当に信じられません。映画をナメくさってます。
まったくどこを見とるか。

この真性ショタ女は、映画中ずっとタダシしか見てなかった模様。彼の透き通るような声と肌に さんざ萌えまくった挙句、麒麟送子の武具に着替えるシーンで彼の尻が見えた瞬間、その場で悶死。

謝れ。監督さんと他の出演者の皆さんに謝れ。

 

 

 

 

・・・・その点、TACさんは別格ですよ。

ちゃんと映画を各観点から細かく分析し、妥当な評価点を挙げたつもりです。

 

 

 

もはや目盛の意味が無いグラフ

「おんどれもほとんど川姫(高橋真唯)しか見てへんやないか」というくまちゃんの声が聞こえてきそうだが、考えを改める気はない。
つか、これはきっと正しい見解だ。この映画の隠されたもう一つのテーマこそ「幼い性の目覚め」だとTACは思うのだ。

少年時代の佐田の回想シーンで、水に濡れた川姫の太腿に這う少年の指。
川姫と加藤の因縁が明らかになる過去のシーンで、上半身裸の彼女がうつ伏せに倒れてる時の脇の下からチラ見える押し潰された乳房。
三池監督、この川姫のちょいエロシーンに関しては絶対確信犯だと思う。
ちょっとだけ異性に興味を持ち始めた、もしくは持ち始める直前のまだ何もわかってない少年が軽くちんピクさせられる挑発的シーンを川姫に担当させて随所に盛り込んでいるのだ。

 

会場にいた少年たちの何人かにとって、この映画こそが今後末永く続く妄想暴走思春期のスタートラインとなることを確信する。
・・・TACにとっての、幼少の頃に偶然TVで観た「バーバレラ(1967)のように。(マセたガキだな)

 

 

 

バリバリ現行上映中の映画のフィルムを、こういった地方イベントの一環として特設会場に借りてくるというのは結構珍しい例なのではないか。
きっともののけ祭り実行委員会の皆さんの熱意と働きかけの賜物なのだろう。主人公タダシの苗字が「稲生」であることもきっと何かの縁であるに違いない。



CCプラザを出ると駐車場に百鬼夜号が展示されており、お子さま連れの買い物客らが写真撮っていた。


  


常駐係としてその場にいた吉川さんと少し話す。
基本的にもののけ祭りはこれで全過程を終了。TACも百鬼夜号も御役御免である。
もののけ祭りは個人的にとても楽しめたし、ほんのちょっとでも百鬼夜号がお役に立てて良かった。

 

DACK2姐さんがやって来た。
彼女は体質的に長時間画面を注視する事が苦手らしく、映画が終わってから合流の予定だったのだ。
百鬼夜号はもののけ委員会の人たちに任せ、姐さんの車に乗り込みどっか遊びに行くことにする。

姐さん
「さて、TACさんよ。どこ行きたい?」
TAC
(うるんだ瞳で窓の外を見つめながら)・・・・・・・・海が見たいな・・・・・・」←お約束のボケ
姐さん
「ハイハイ。・・・・で、どこ行きたい?(素無視)
TAC
「ドコって言われてもどこに何があるのか知りませんがな!」
姐さん
「ふーん。じゃあ、とりあえず右か左か言え(ものすごくアバウト)
TAC
「あの・・・と、とりあえず文明が発達してる方はどっち?」
くま
「そんなもん、どっちにもありやせんぜダンナ」

 

 

・・・おちょくられてるとしか思えない。

とにかく二台の車で移動するのも不便だし、クマちゃんの車を自宅に置いてくるため福山まで戻る事になった。



大蛇の滝と、夢の架け橋

 

 

まず中華料理屋で昼飯。
その後はスーパーなんぞでガチャガチャに興じたりしながらアテも無くフラフラとドライブ。

着いた場所は府中市の「三郎のすべり滝」という場所だった。

 

30mに及ぶ滑らかな岩の斜面の上を水が静かに流れている。
ここはその昔、蛇池という所に住む二匹の大蛇が滝つぼに飛び込んだり大岩を滑り降りたりして遊びたおした結果、その通り道が削り取られて今の形になったという伝説があるそうな。なるほど。

なーんだ。
「福山には案内できるような名所は無いぞ」なんて謙遜してたけど、キミ達ってばちゃんとTACさんのために妖怪関連のスポットを調べてんじゃん。エライエライ。

くま
「へーーそうなんだ。知らんかった」

・・・ヲイ。

 

 

何人かのお子さま達が、この天然ウォータースライダーに歓声を上げていた。
ちなみにくまちゃんも子どもの頃、ここで足を滑らせ腹這いのまま滝つぼまで突っ込んだ思い出があるそうな。

実はこのすべり滝を造った張本人はくまちゃんなのかも知れうわ何をするやめjfkdmvdfv、gふじこcl、;rf

 






 

次にやって来たのは世羅郡芦田湖の八田原ダム。

山間にそよぐ爽やかな風と、それにのって何処からか届く犬の糞のような異臭胸いっぱいに吸い込んで、先ほど滝でチャージしてきたマイナスイオンをすっかりチャラにされる。

ここには全長で世界一を誇る「夢吊橋」という名の橋がある。


サスペンスドラマのクライマックスで犯人と対決する最後のシーンに使われそうなナイスロケーション。

TACは昔からこういうただひたすら真っ直ぐな道を見ると、なぜか思いっきりボーリングの球を投げたい衝動に駆られる。
いつかマイボールを携えてもう一度ここに来たい。(持ってないけど)

 

 

 

 

その後は三次へと帰還。
途中ふと寄ったカラオケ屋で軽く2時間ほど歌ったら、バスの時間にちょうどいいタイミングで三次駅に着いた。

 



「ありがとう」のエネルギー

 

PM11:25 JR三次駅。

もうすぐバスがやってくる。
来たときと同じように今夜は車中泊。明日の早朝に名古屋着、そのまま仕事だ。・・・考えるだけで気が重いが、この二日間が楽しかったからヨシとしよう。

バスの時間に合わせ、吉川さんが見送りに来てくれていた。

「本当に御世話になりました!ありがとうございました!」
今回も多くの人に出会えた。吉川さんをはじめとする「もののけプロジェクト」の皆さんと、三次の町を愛するたくさんの人たちの熱い情熱にも触れた。
TACも百鬼夜号も、元気を貰った気分だ。(体力は順調に消耗してるが)

応援に駆けつけてくれた福山の皆もありがとう。
思い出をありがとう。

 

バス到着

 

いつまでも手を振る吉川さん、姐さん、くまちゃんに見送られ・・・セレナーデ号はゆっくりと発車した。
三次駅が見えなくなり、シートに深々と身を沈めて目を閉じる。
心の中でもう一度「ありがとう」を呟き、その意味を考える。

 

一つだけ、確かなこと。

百鬼夜号に乗るようになってからそろそろ5年の月日が過ぎようとしている。
しかしその5年の間に、TACはそれまで生きてきた30年分を軽く超えるだけの「ありがとう」を貰っているということだ。
これはちょっとスゴイ事なのかもしれない。

百鬼夜号で見知らぬ町を訪れる。
そこに住む人たちに出会うたび、そしてまたそこを去るとき。
皆が必ず満面の笑みで言葉をかけてくれた。
「来てくれてありがとう」「ありがとう」と。
 

百鬼夜号が誕生する以前の自分の人生で、かつてこれほど多くの人から「感謝」をされたことがあっただろうか。
あるワケがないのである。一介の板金屋のドラ息子が、ただの妖怪好きなバカが、イイ歳こいてまだ結婚もしてない道楽野郎が(自分で言っててムナシクなってきた)

百鬼夜号が変えてくれた。
俺の人生を、ちょっと楽しいモノに変えてくれた。
地味な一般市民を、感謝される人間に変えてくれた。

 

 

「ありがとう」のエネルギー。これからも大切にしていきたい。
あの人の驚く顔、あの子の笑う顔、その先に必ずある温かい「何か」のために。
そして俺も負けずに、いっぱい返そう。

元気よく「ありがとう」と。

 

 

 

 

2005年、広島の夏。
百鬼夜号のオドメーターにまた少し、思い出の分だけ数字が刻まれた。

 

 

 

三次もののけ祭りレポ
おしまい

 


 

 

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