(キカクもの3のページより合流)
ソラで描けるかなバトル殺しアム
3rd Children
(境港大会)
「今年のGWは水木しげるロードに行こうよ」
そんな話がカノジョの口から出たのはいつだったろう。
「水木しげる文庫」へ出張エアブラシに行ったのが開業前の昨年7月。以来、未だ「完成した店」を見ていない。
カノジョと泊りがけで行けるとしたら大型連休しかないワケで、この良い機会に境港へ行くというのは悪くない案である。
GWだから観光客もきっとたくさん来るだろう。そこへ百鬼夜号を持っていけば文庫の集客にも一役買うだろう。
よし、行こう。
目玉マスターに連絡する。
ついでに「第三回ソラで描けるかなバトル殺しアム」を行ないたい旨を告げる。
知らない人はいないと思うが一応説明すると。
この「ソラ描きバトル」は我がHPの恒例オフ企画。”お題”に出されたものを己の記憶のみに頼って画用紙に描き、その腕を競うお絵描きタイマン勝負である。毎回それはそれは素ン晴らしい迷作が次々と生み出され、大変楽しませてくれる。
最下位の者に課せられる過酷な罰ゲームもウリだ。(第一回) (第二回)
境港には芸術家が多い。
水木ロード物語のHPデザインを全て統括しているマスターは言うに及ばず、文庫の魔女カオルさんは知る人ぞ知る画伯。
ブッキィもプロのイラストレーターだし、彼らがもしこの企画に参戦してくれたらかなりハイレベルな攻防が期待できる。
いつか機会があったら是非やりたいと思っていたこの「境港大会」を、実現するまたとないチャンスなのだ。
マスターもノリノリで快諾してくれた。
さて、あとは対戦方式と罰ゲームをこちらで決めるわけだが・・・やはりゴールデンウィークにちなんだものにしたい。
カレンダーをぼんやり眺めながらふと思いつく。
5月1日 メーデー
・・・あ。そうだよ、そうぢゃん。
5月(May)と言ったらメーデー。
メーデーって、確か「メイドの日」って意味だよね?(良い子は信じないように)
TACさん、そそくさと参加者募集用オフ予告ページを作製。
以下はその内容をブッキィがFlash化してくれたものである。(注:音鳴ります)
この予告の反響は大きかった。
嬉々として参戦を表明する者(主に富山・福山方面)、頭を抱える者(主にマスター)・・・・・、しかし当の本人たち(水木しげる文庫スタッフの入道さん・魔女カオルさん・袖引きお志乃さん)からの反応は無かった。
・・・TACさんのシンプルな思考回路は「反論がないということは”了承”」と解釈。
ありがたくこの企画内容でコトを進めることにした。うん、俺って最低。
決戦は5月3日の午後7:30。
「水木しげる文庫」内、「千年の森」だ!!
後日、罰ゲームで彼らに着てもらうメイド服を購入すべく、ネットで検索。
最初に目に付いたこのサイトですぐ発注する。相変わらずこういう下らないイタズラ事にはムダに行動が早く、異常なほど気前が良い。
●アメリカンメイドMOEピンク
4,567(ネット特別価格)
x 1 = 4,567
●ウエイトレスドール
7,717(ネット特別価格)
x 1 = 7,717
●代引き送料
840
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計 13,124円
(内消費税 625円)
・・・既に死にたくなってくる。
すぐに先方より「注文確認メール」が届いた。
一度に2着もメイド服を注文した明らかに男であるワタシ(当然本名で注文)を別段怪しむことなく、丁寧で細やかな対応である。
あくまで「罰ゲーム用」であることを強調し、「男(入道さん)が着ることになる可能性もあるので、大きめのサイズはないか」という内容の
問い合わせをする。
すぐ担当者より返信。
「男性が着用できるかどうかはわかりませんが、同じメーカーのカタログの中でゆったりサイズという項目がありますので、そのカタログをお送りいたします。」
い、いらんっ!
そんなカタログなぞいらんぞっっ!!(泣叫)
で、後日商品とともに届いた異様にでかいカタログ。↓
・・・部屋の中でひとり頭を抱える35過ぎの独身男。
こんなもん家族の誰かに見つかったら、緊急家族会議モノである。
これらに加え、一応「メイド」と「冥土」をかけて「幽霊コスプレ用白装束セット」も別サイトで購入。
さらに、メイド服を着ることになってしまった人のためにタスキ(「罰ゲーム中」とか書いておけば少しは救われる?)、胸に仕込むためのニセボイン(揉むと膨らむタイプ)、その他罰ゲームで使えそうな五又ストロー&青汁とか風船ロシアンルーレット銃などをパーティーグッズ店で買い込む。
ざっとしめて20000円超の出費であった。
本当にこんなことしててイイのか俺。(イイわけがない)
目玉マスターから残念な報せが届く。
3日夜の決戦に、文庫スタッフの参加が危うくなってきたのだ。
繁忙期であるGWは、当然文庫も修羅場が予想される。むしろこの時期に稼げるだけ稼がないと経営的にヤバすぎる。
当然3日も、お客さんが一人でもいる間は閉店できない→閉店後も翌日の仕込みなど雑務がいっぱい→スタッフが仕事を終えるのは時間的にかなり遅い→特に女性スタッフは翌日に備えて早く帰らなければならない
・・・つまり、魔女カオルさんと袖引きお志乃さんの二人は実質参加が絶望的であること。
それどころか入道さんすら何時から参加できるか正直微妙だというのだ。
メイドになる(予定の)3人が、一人も勝負に関与しないというのはどうか。
TAC
「まあ、忙しい時期ですしね・・・。迷惑もかけられないし、今回の話は無かった事にしましょうか」
マスター
「何言ってんですか。バトルはやるんですよ!当日の状況で臨機応変できるように、ルールを考えてください」
このオヤジ、至極あっさりと無茶を言う。
開始時刻もメンバーも直前まで読めないこの状況で、どう企画を設定すればいいというのか。
後に皆で行くことになっている食事&飲み会の事も考えると、終了時間だって考慮しなければならない。
今回はバトルの模様を文庫内のライブカメラ「妖怪探知カメラ」で完全実況生放送することになっている。
こんな恵まれたロケーションで「ソラ描き」出来る機会は今後まずないだろうし、すでにこの件に関しては大々的に宣伝を打ってしまっているので、参加出来ないかわりに当日はカメラの前に張り付いて勝負を見守ろうとワクテカしてる人がたくさんいるだろう。
何かと制約は多いが、もはややらないワケにはいかない。
参加表明者が10名に達したところで、とりあえず締め切ることにした。
チーム戦なので、偶数のちょうどキリの良い人数といったらこのあたりが妥当だ。
今回もそうそうたるメンバーである。
まず富山から初代ソラ描キングの松下幸さんが嫁のにょこさん(旧HN:えがどん)とともに参戦。
京都からは居酒屋マッチョおやじShunさん、福山からムカデ大学生トビズくん、地元境港からはブッキィとその彼女LUNAちゃん。
・・・この6名をどちらのチームにどう振り分けるかが、勝負の鍵といえた。
松さんとブッキィは大本命である。
なんとか仲間に引き入れたいところだ。まず確実に白星を狙えるチームの主砲となるに違いない。
Shunさん・にょこさんの二人は過去の戦いを見る限り、その画風があまりにも前衛的であるため戦力となるかどうかは難しいところ。
Shunさんは仲間にいればとても頼もしい感じがするが、今回のルールに「白兵戦」という項目はない。
にょこさんの絵はネタとしてオイシイのはまず保証付きだが、今回はまず勝つことが大前提であり笑いをとってる場合じゃないのだ。
戦力未知数なのはLUNAちゃんである。
彼女は今回の募集に際し「酒飲めるなら参加する」と、実に自分に素直なコメントをしている。当日会場での飲酒は禁止こそしていないが予定もしていなかった。
ガス欠状態の彼女は、果たしてエンジンがかかるのかどうか。
・・・最後のトビズくんはどうだろう?
彼の描く絵は、広島の三次もののけ祭りで一度見ている。なかなか上手い「土蜘蛛」だった。期待してイイかもしれない。
しかし・・・彼はかつて掲示板でこうコメントしていたことがある。
「ボクの尊敬する武将って、明智光秀なんですよね〜。
あ、あと福山市のシンボルマークって実はコウモリなんですよ」
・・・・・・・・・。
・・・コイツだけは仲間に入れてはならない。
寝首掻く気マンマンである。
少なくともワタシに明智光秀と二人きりで本能寺に合宿する織田信長になる勇気はないぞ。
とにかくメンバー振り分けはこっちで勝手にするわけにもいかないので、当日バランスを見ながら決めることにしよう。
そうこうしてるうちに日は過ぎ・・・とうとう決戦の日がやって来た。
五月三日。決戦当日。
百鬼夜号を乗せた積載車は午前3時に美濃を出発。
朝方に吹田と宝塚付近で小渋滞に、終点の米子ICで中渋滞に引っ掛かった以外は比較的順調な行程だった。(途中休憩はトイレとガスチャージのために一回こっきり)
10時前には境港着。マスターと波止場で合流する。
百鬼夜号で水木しげるロードに入ると、もうかなりの観光客が歩いていた。
水木しげる文庫前に横付け。
いきなり群集に取り囲まれる百鬼夜号。御約束。
しっかり用意されていた「妖怪百鬼夜号」の幟
ここで黒目さんと、なぜかその隣に当然のように座っている猛獣と再会。
TAC
「はっちー・・・・キサマなんでココにいる?」
くまはち
「朝フツーに出勤したら『今日休んでもよかったのに』って言われたもんだからムカついて早退。その足でここまで来ちゃったYO!(とびきりの笑顔)」
・・・そんなコンビニに寄る感覚で来る距離じゃないだろ福山からよ。
ともかく、今夜の決戦にもちゃっかり参加するつもりらしい。
人波を掻き分けて文庫店内に入る。大盛況のようだ。
忙しそうな入道さんや魔女カオルさんにカンタンな挨拶をし、店内をゆっくり見学する。
さすが「日本唯一の水木しげる著書及び関連書籍専門店」と銘打つだけのことはある。なかなか充実した品揃えだ。
特にTACにとって幼少時の思い出の一冊である「妖怪なんでも入門(1974)」が「妖怪大百科」という名で新装刊行されていた。これはもうソッコーで購入決定である。懐かしい〜。
他にもソソる関連グッズが佃煮にするほどたくさん置いてあって早くも心揺さぶられっぱなしだが、土産は最終日にゆっくり買う事にして奥の「千年の森」に突入。
TACが昨年の出張から帰る時点ではまだ漆喰を塗ったばかりの状態だった例の巨木は、意外なほどの完成度だった。写真で既に見ているとはいえ、実物はかなりの迫力だ。
自分の描いた壁画とも、佇む塗り壁&一反木綿のハリボテともよくマッチしている。
・・・文句のない。
文句のない決戦場だ。
今夜この場所で、熾烈なバトルが繰り広げられるのだ。
やがてブッキィ合流。
正午過ぎ、米子空港にカノジョ着。
そして2時頃、下道で渋滞にハマり実に11時間かけて松さん夫妻着。
とりあえず集まった6名で遅い昼食を摂りに行く。
その間に電車に揺られてやって来たトビズ君が境港に到着。次々と戦士たちが戦場に集結する。
午後は百鬼夜号を見に来てくれたかまいたちさん一家や紋吉さんとその友達と談笑しながら文庫で時間潰し。
頃合を見て、ブッキィの車で買出しに行く。バトルが終わるまで夕食がお預け状態になるため、参加者に飲み物と軽いツマミ類を用意することにしたのだ。
この買出しの間に、最後の一人であるShunさんが文庫に到着。役者は揃った。
そして・・・定刻を少し過ぎたPM7:45。
2台の妖怪探知カメラがセッティングされ、全世界(約30人)が固唾を呑んで見守る中、「千年の森」のテーブルに一同が集結した。
ギリギリまで戦力バランスを考慮した厳正な審議のもと、「TAC消費者組合連合会」と「水木しげる文庫防衛軍」の各チームにそれぞれメンバーが振り分けられる。
開戦!
・・・・・このとき。
このとき、既に一つめの「運命の歯車」は静かに回り始めていたのだ。
テーブルの上に所狭しと並べられたスナック菓子の袋やソフトドリンクに紛れ、片隅にさりげなく置かれていた一本のボトル。
それは買出しの際にカノジョが、「今度結婚する友達に、ウチで作った10年モノの梅酒を贈るつもりでいるの」と言い、それを入れるための手頃な瓶を探していて、買ってきたものだった。
・・・そのラベルには「泡盛」と書かれてあった。