☆ 内覧会であった様々なコト ☆   (まだ一日目かよ)



黒目さんの合図。
同時に大きく開け放たれる記念館正面門。俺たちの出番だ。

「さあ、行きますよ。先生!」
気合いを入れてセンセに目配せするTAC。
その隣で、なんか静かに寝息をたて始めているセンセ。
センセ、起きて。お願い。
(半泣き)

ゆっくりとアクセル・オン。
水木しげる大先生を乗せた妖怪百鬼夜号
(+オマケの運転手TAC)が、今まさに拍手とカメラのフラッシュに溢れる式典会場内へと滑り込んで行った。

見よ!この歴史的瞬間を。

 


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「妖怪百鬼夜号計画」は、

まさしくこの瞬間の為だけに、ここまでやってきたと言っても過言ではないでしょう。

この時・・・確かに俺たちは最高に輝いていたはずです。

2年前に廃車となる事が決定していたボロボロの軽自動車と、

2年前に三十路に入ってしまった只の妖怪好きなアホが、

生きる伝説と化した大妖怪様と共に、

場内割れんばかりの拍手と止む事のないカメラのフラッシュのただ中にいたのです。

 

・・・もうこれで思い残す事は(ナンボでもあります)

 

 

 

 

 

センセ、しばらくは助手席の窓から報道陣のカメラに向かって手を振ったり威嚇したり。さすがサービス精神旺盛です(公的には)
そして百鬼夜号からゆっくりと降り立ち、何を思ったかいきなりギャラリーに向かって、

3-7-10.jpg (31668 バイト) 「パシャッ」

 

センセ、その写真・・・真っ白で絶対何も写ってないと思います。

 

 


 

(これ以降のレポートは、水木ロード◎コムの方も合わせて御覧ください)
あちらの方が写真が豊富です。

 

 

滞りなく式典は終わり、いよいよ記念館への入場となります。
水木センセを先頭に、81名の招待客と20名を超える報道陣と記念館のスタッフ十数名が、ぞろぞろと列を成して入っていきます。
ええ、もちろん渋滞です。

 

3-7-11.jpg (13141 バイト)まあ、仕方ないっちゃあ仕方ないんでしょうが。

報道陣多過ぎだと思います。
皆、殺気立ってます。全然センセには近寄れません。話も聞こえません。
せっかくセンセの生のお話を聞きたくて応募し、集まった81名の一般人がいるんですから、もう少し静かに内覧会を楽しめるよう気遣ってみても良かったのではないでしょうか。

TACは明日にも入場料を払ってもう一度ココへ来る予定なのでいいんですが、今日トンボ帰りしなきゃならない遠くからの来訪者も多いでしょう。
彼らにとってはちょっと残念だったのではないかと思います。

 

TACは最初からセンセをマークするのは諦め、集団の一番最後尾をノロノロとついていく事にしました。
ふと見ると、布枝夫人がみえます。声をかけておこう。
「この度は本当におめでとうございます」
「あら、ありがとう」
しばらく二人並んで展示物を見て歩きます。壁に大きく掲げられたセンセの年譜には、幼い頃の写真はもちろん、結婚当初のうら若き布枝夫人の写真もあったりします。とても美しい方です。

「ところで奥様はお幾つなんですか?
TAC、いきなり減点100。
「私はねぇ、彼とは10歳下なんですよ」
「えっ、じゃあ71歳になられるんですか」

またしても減点100。ナニ考えてんだかホント信じられませんコイツ。
「先生もそうですけど、御元気ですよねえ」
「いえいえ、もうあとは死ぬだけ(笑)」
「いやー、お若いですって。全然そんなお歳には見えませんよ」
「そう?ありがと」
「ええ、どーみたって・・・」

70歳くらいにしか見えないッスと、言いかけましたが止めました。
同じ過ち(ボケ)は二度と繰り返しません。
つーか、今度こそ極刑に課せられますよネ☆ 
よネ☆、じゃねーだろ)

 

 

 


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御疲れのセンセ、事務所へ一時避難。
ちょっと小休止の図。
(→)

 

 

さて、この後の事ですが・・・。

館内を一通り巡った後、出口より式典が行なわれた屋外スペースへと再び移動し、そこで先生の「81歳お誕生日会」が行なわれたそうです。
強風の中、なんとか8本の大ロウソクと1本の小ロウソクに火が点され、先生が一息に吹き消されたそうです。

なんでこんな表現なのかというと、TACさん実はその時、その場にいなかったからです。(減点200)

TACが二階の常設展示室ですっかり長居してしまっている間に、さっさと先頭集団は館外に出てしまい、滞りなく誕生日会は始まってしまったのです。TACが外に出たときには全てが終わってました。
なんかTACの人生って、いっつもこんな感じに乗り遅れ続きだったような気がします。
世間はこんなTACさんにもっと優しくしてあげた方がいいと思います。

 

とにかくセンセ、誕生日おめでとうございました!
これからも末永く御元気でいてください。

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こうして、「水木しげる記念館特別内覧会」は無事終了しました。

御土産として配られたケーキとお茶、記念品、そしてあの水木先生と共に過ごしたという静かな興奮と思い出を手に・・・我々は帰途についたのです。

 


マスターとかなよさんが、首をかしげながら何やら話してます。

「さっきさぁ、記念館のスタッフの中に多田さんそっくりな人を見たんだよねぇ」
「あっ!私も見た!すっごい似てるの。本人かと思っちゃった」
「確かに多田さんならいてもおかしくはないけど、観光協会の腕章してたし、絶対違うよなあ」
「荷物搬入したり、写真撮ったりしてましたもんね。招待客としてならともかく、多田さんがそんな事してるはずないですもんね(笑)」
「それにさ、本人だったらもっと太ってるはずだよ(笑)。いや〜〜、似た人っているもんだよなあ」

実に言いたい放題言ってますが、二人が話してる「多田さん」とは妖怪研究家の多田克巳さんの事です。
この人は世界妖怪会議においても京極夏彦氏・荒俣宏氏らと共に何度も登場している方で、その筋ではライターとしても有名ですから確かに記念館スタッフとしてコキ使われているなんて事があるはずがありません。
ええ、あるはずないんですがね。

 

二人が目撃したというこの人・・・・・・・(↓)

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本人だったそうです。

 

 

 

とほほほほほほほほほほほほほほほほほほ・・・・・・・・・(泣)

 

 



さあ、大役も無事(?)果たしましたし、肩の荷も憑き物も下りました。
ちなみに「憑き物」って「月のモノ」に似てますね。プッ。
(死んでこい)
もう何の気兼ねもなく飲んで食って買って観光三昧しようと思います。今まで気兼ねしていたのかというとしてません。すみません。

一度ゲゲゲに戻り、皆でどこかへ夕食&飲み会に行こうという事になります。わーい。今夜は境港の旨い魚でクイーーッと一杯・・・え?行くのはお好み焼き屋さんですか。そうですか。

この時のメンツ。
ノノさん、マスター、かなよさん、ち〜ちゃん、ち〜ちゃんのお友達2名(ミウラさんとカミゾノさん)、TAC・・・・・と、アレ?もう一人います。眼鏡をかけた精悍な青年です。
彼はすぐ近くに実家がある境港のヒトで、記念館の開館に駆けつける為についさっき里帰りしてきたばかりだそうです。
ノノさんが紹介してくれます。「彼はねぇ、スオウ君といって東大生なんだよ」
ふーん、東大生かあ。なるほどねえ。じゃ、さっそく皆で一緒に飲みに行きましょうか。車はどーします?百鬼夜号は出さなくてもいいですか?それにしてもマスター、境港くんだりまで来てお好み焼きですか。いえ、お好み焼きは好きですけど。ええ、好き嫌いはありませんってイヤちょっと待て東大生!?!
マジ・・・?ホンモノの東大生??
わー、東大生だよ。ナマの東大生だよ。初めて見たよ。

岐阜の片田舎に住み、
「早起き出来ないから」という理由だけで自宅から最も近い高校を選択し、
家業を継ぐため専門学校に入ることが大前提で大学受験なんぞハナっから考えてなくて、
つまりどちらかとゆーとあまりアタマのよろしくない人種であるTACさん。

そんなTACさんにとって「東大生」は、ヘタすりゃホンモノの妖怪よりも遭遇する確率が低い別世界の生き物です。
(こらこら)

 

 

マスターとノノさんの車で分乗して行く事に。
TACはマスターの車に乗せてもらう為、彼が車を取りに行っている間に百鬼夜号を駐車場に移動させ、妖怪神社前で待機。

そこへ一人の可愛い女の子が通りがかりました。
手にした荷物
(ケーキと記念品の袋)で、内覧会の帰りだということが一目で判ります。彼女は妖怪神社の前で記念写真を撮ろうとしたらしく、近くにいた近所のオバちゃんにシャッターをお願いしているところでした。
そこへ颯爽と登場するノノさん。
「あ、写真?いいよ。撮ってあげる」
(パチリ)
「あ、ありがとうございました」
「キミ、記念館の帰り?」
「はい」
「これからどーすんの?」
「・・・え?」
「いや、だからこれからどーすんの?何か予定あるの?」
「あ、いえ。別に」
「あーそう。じゃ、飲みに行こう
 (すっげー直球)
「はい?」
「これから皆で食事に行くんだよ。君も行こう」
「え?あ・・・でも」
「もう家に帰るの?」
「いえ、今日はホテルに泊まるんですけど」
「じゃ、もうホテルに帰るだけなんだよね?予定は無いんだよね?」
「はい・・・」
「じゃ、飲みに行こう。大丈夫。皆、今日初対面の人ばかりだから」 
(何が大丈夫なのか)
「え、あ、でも、いいんですか・・・?」
「よし、決まり!じゃ、この車に乗って」

「はい・・・すみません。お邪魔します・・・」

所用時間、約30秒。
こんな手際のよいナンパ見た事ありません。
お・・・恐るべし、野々村翁!弟子にして下さい。いやマジで。


車を持ってきたマスターも、いきなり一人増えているメンツに目を丸くしてました。

 

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お好み焼き屋さんにて、和やかに酒宴。
とても楽しい時間でした。

「かんぱ〜〜〜い♪」
「いやー、腹減ったよ。いただきまーす」
「ところでスオウくん、専攻はなんなの?」
「すみませーん。マヨネーズ取ってくださーい」
「ちーちゃん、ちゃんとお友達紹介してよ」
「えーと、まずこちらがミウラさん。で、こっちがウエゾノさん」
「カミゾノです」
「それにしても今日の内覧会は混雑してたよねえ」
「うまっ。コレ旨いわ」
「今書いてる論文のテーマは水木センセの体験が作品に与えた影響に関する考察で」
「生中ひとつ追加〜〜」
「明日の開館式・・・一応、見に行きます?」
「しかし、かなよさんの妖怪知識ってスゴイよね」
「この残った焼きソバ食っちゃっていい?」
「ウーロン茶くださーい」
「水木先生はいつ帰るのかな」
「そーなんですよ。ねえ、ウエゾノさん?」
「カミゾノです」
「私、今度の論文は”天狗”をテーマにしようと思ってるんですよね」
「あ、マスター。今日の百鬼夜号に乗った水木センセの写真、バッチリ撮れました?」
「ええ、友達というか今日会ったばかりなんですよ。二人とも」
「もう一杯飲んじゃおうかな」
「明日もあまり天気良さそうじゃないよね」
「悪来さんたちは、いつ頃来るのかな」
「あっ、グラス割っちゃった!」
「卒業後の就職先はコンピュータ会社に内定してるんですけど実はパソ持ってないんですよね」
「ねえ、まだ何か食べる?」
「・・・ところでウエゾノさん」
カミゾノです
「彼女、ペース早いんじゃない?呂律回ってないよ」
「ああ・・・そこならかなよさんと一緒のホテルだね」
「昔酔っ払って雪の中に倒れて寝てた事もあるんだよ」
「あんなマンガに出てくるような典型的酔っ払い、初めて見た」
「それにしてもウエゾノさん」
カミゾノです」

 

・・・どのセリフを誰が言ったのかはあえて詳しく書きませんが、最後の方は殆どち〜ちゃんがらみです。
彼女、実は酒豪天然ボケキャラであった事が判明。

 

 

 

飲み会の後は再び「ゲゲゲ」に戻って、まったり。


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とりあえずここで解散。長い一日がようやく終わりました。
TACもおとなしく「境港港湾労働者福祉センター」へ戻って寝る事にします。

しかし・・・ホントいろんな事があったなあ・・・。
明日も良い思い出がいっぱい出来ますように。

 

 

 




 

 

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