☆ 内覧会までにあった様々なコト ☆
曹洞宗 巨嶽山「正福寺」。
幼き日の水木しげる(本名・武良茂)少年が入り浸り、魑魅魍魎や死後の世界に思いを馳せた所縁の場所。
水木しげるセンセが自身の幼少時代を語る時、まず絶対欠かす事が出来ないのは「のんのんばあ」と呼ばれるお婆さんの存在でした。近所に住む信心家の老女で、武良家のお手伝いとして出入りしていた御方だそうです。
しげる少年は、この「のんのんばあ」から神様や仏様、幽霊やオバケ、その土地に伝わる伝説など・・・様々な事を教えられて育ちました。こうして彼は、異世界に住む不思議なものへの関心を強めていったのです。
そんな彼が、のんのんばあに連れられてよく訪れたのが正福寺でした。
ここの本堂には、一枚の極楽絵と三枚の地獄絵からなる「六道絵」というものが掲げられています。
描いた人?・・・知らん。(目玉マスター談)
この絵こそが、今我々を魅了して止まない水木しげる妖怪画の源流なのです。
何度もココへやって来ては、飽くことなくこの絵を眺め続けたしげる少年。
彼はこの絵から「死後の世界」の存在を知り、昔の人々が考え出した「異形の者たち」に対する畏怖と憧憬を心に刻みました。
やがてそれは彼の持つ生来豊かな想像力と卓越した画力によって具現化され・・・「妖怪」が誕生したのです。
この絵が全ての始まり。
全ての妖怪画の・・・そして「妖怪百鬼夜号」の御先祖様!
ありがたく拝ませて頂きました!
・・・しかし、なんですな。
「水木作品の原典が眠る寺」っつーくらいですから、あたしゃてっきり鬼太郎が誕生した古寺のモデル・・・つまり、死んだ母の体から産まれた赤ん坊の鬼太郎が墓の中から這い出て来たという、あの朽ち果てた寺のような所を勝手に想像してたんですが。
とっても綺麗です。つーか新築です。
殺伐としたTACの部屋の方が、よっぽどナンか出てきそうです。ほっとけ。
何年か前、この地方で起きた地震によって壊れたのを機に、改築したようです。
しかもそこに住むのは、みすぼらしい白髪を振り乱し、「おまえたち何をしに来た!帰れ!!」と叫ぶ、真っ赤な目を爛々と燃やした鬼のような老婆を想像していたのですが。
応対に出てきたのはこれまたとっても綺麗な若奥様。
殺気立ったTACのおかーしゃんの方が、よっぽど鬼バ(明日の晩飯の為に削除)
またここの娘さんがねえ・・・可愛いんだコレが。
小学生後半くらいか?最初は母親の後ろで恥ずかしそうにはにかんでたのですが、いきなりペタンと跪いて深々と御辞儀。わたし誓ってロリコンではありませんが、惚れましたマジで。
こんな礼儀正しい御子様は見た事がありません。TACの周りのガキどもと言ったらどいつもこいつもナマイキな奴らばかりでオイ!そこの堂内を走り回ってるオマエ!!少しはこの子を見習わんかい!!(ちなみにこの少年が、後にかなよさんから当選ハガキの最後の一枚を譲り受け、内覧会に参加する権利を得ることに)
水木センセの石像に見送られながら・・・土砂降りの雨の中、正福寺を後にする。
(追記)
美人の若奥様の御好意により、正福寺「消災妙吉祥陀羅尼御守りセット」なるものを頂きました。
経典(スタンド付き)、しおりなどが入っているセットなんですが、その中に「消災開運シール」というのがありまして。小さな円形の透明シールの中に消災呪が印刷されてるものなんですよ。8枚入り。
さっそく百鬼夜号の前後バンパーの四隅に貼らせて頂きました。これでカンペキな結界も完成。
お問い合わせはこちらへ。
さあ、開館まであとわずかです。
百鬼夜号にマスターとかなよさんを乗せ、「水木しげる記念館」前までやって来ました。
正門前にはもう列が出来ています。参加者受付は始まってるようです。
既にスタッフの方には話が通っているので、門前に堂々と横付け。水木センセを迎えに行くまでの間、展示させてもらうことになリました。
当然、並んでる人々の注目の的。
でもね、普段浴びている好奇の視線とは明らかに違います。だって今回ここに集まってる人は全て、わざわざ応募してまで開館前夜に駆け付けたまごーことなき妖怪好きな方々。
その目には「愛」を感じます。
現在センセは自宅にて待機中。式典15分前になったら黒目氏の車と百鬼夜号の二台で御迎えに行く事になっています。
「TACさん、先に受付を済ましておいた方がいいですよ。当選ハガキを提出して記念品の引換券を受け取ってください」とスタッフの方に促され、門の中に通してもらいました。
ふと見ると、門を隔てて手を振り合っている人達がいます。おそらく当選して内覧会に出席する人と、ただ付き添いでついて来た友人なのでしょう。可哀想に生き別れになってます。せっかくだから彼らも入れてやればイイのに・・・。
こーゆーのを見ちゃうと、なんか罪悪感ありますな。
「当選者以外は原則として入れない」はずの内覧会。役得とは言え、俺なんかがホントに入っちゃっていいのかな・・・
受付「・・・次の方、御名前は?」
TAC「はい、名古屋の堀崎でっす☆」(コンマ1秒迷いなし)
ええ、爽やかな外道ですよボク。何か?
記念品ゲット。(→)
シリアルナンバー(65/81)付き特製チケットです。
プレミアつきますように。(売る気かキサマ)
さあ、時間がきました。
百鬼夜号に乗り込み、エンジンをかけます。
目的地は・・・水木センセの家。
黒目さんの車に先導され、センセの自宅前にやってきました。
例の「思い出の波止場」からさして離れてません。港湾を正面に臨む、何の変哲もないフツーの家です。
「水木プロダクション中国支部(支部?)」の看板が見えます。
センセと水木プロの方々が玄関に姿を現わしました。
その中にセンセの奥方である布枝夫人もいらっしゃいます。「ヨロシクお願いします」と挨拶をすると、百鬼夜号をまじまじと見つめ、「最高の演出ね!」と満面の笑顔で応えてくださいました。
黒目さんの説明を受け、センセが百鬼夜号の助手席に、他のメンツは黒目さんの車に乗り込みます。
移動開始。
はい、想像してくださいね。
あの水木しげる大先生と二人きり。
百鬼夜号の中で二人きり!
アメリカなら強姦してもされても罪に問われない状況。(待て待てオイ)
人間国宝級の要人を密室に拉致監禁状態。(こらこらこら)
この時のTACさん・・・緊張を通り越して硬化。
心拍は16ビート・2バスタムロール。最大瞬間血圧は250をマークし、耳から溢れ出るほどにアドレナリン・エンドルフィン・ドーパミン大量分泌。
体温、油温、血糖値、血中アルコール値、株価指数、エンゲル係数、動摩擦係数、中心部の気圧、恋愛運急上昇。ステディな彼との仲は急速に盛り上がり、フリーな貴方もラブチャンスの予感でいっぱい☆素敵な男性が大勢現われ大胆なアタックを仕掛け・・・って違う!何言ってんだっしっかりしろ俺っ!!←(半壊)
話せ!何でもイイからとにかく話せTAC!
センセが退屈してしまうぞ!いつものウィットに富んだトークはどーしたんだ!
”野獣ボブ・タック”と呼ばれたあの頃を思い出せ!(ちなみに”野獣”はのけものと発音)
TAC 「いや〜、境港って結構イイ所ですよねぇ〜」
センセ 「・・・ははは。うん」
(結構ってナンだ、結構て!失礼じゃないか!!)
TAC 「センセも明日で81歳ですか〜。お若いですよねぇ」
センセ 「そう?」
TAC 「ええ、どう見ても80歳くらいにしか見えないっす」
センセ 「・・・・・」
TAC 「・・・・・・・・・・・・・・・」
会話が続かない(泣)。
センセ、今のボケです。ちゃんと突っ込んでください。スルーしないでください。
これじゃワタシ、ただの無礼者じゃないですか。(←しっかり無礼です)(←そもそもボケる相手を間違えてます)
センセってば、公の場でのスピーチとかでは実にユーモアに溢れた面白い話をしてくださるんですが、プライベートではホントおとなしいんですよ。
それとも御疲れなのか?俺がオトコだからか?眠いのか?乗り心地が悪いのか?あ、ソレだ。乗り心地悪いんだ!
百鬼夜号は、もともとド中古軽自動車(しかも事故歴あり)。足回りもしっかりヘタってます。振動はハンパじゃありません。
ただでさえ狭苦しい車内なのに、座席には分厚い座布団が敷いてあるせいで座高は高めです。大柄な体格のセンセには、きっとシートベルトさえ窮屈に違いありません。
迷惑をかけたくないので無理に話しかけるのはやめにしました。
でもなんとかこの気まずい雰囲気をなんとかしたいものです・・・・・あ、そうだ。
TAC 「ねぇ、センセ。ココにもサインお願いしますよ」←超迷惑なヤツ
ももももももも文句あるか!滅多にサインなど貰えない水木センセを完全に一人占めしているこの状況・・・これを利用しないテはないわい!
助手席の、ちょうど膝の前にあたる場所にぶら下げてある木の看板。ここに2つ目のサインを書いてもらおう!役得役得♪
事前にかなよさんから借りておいたマジックペンをセンセに渡します。「あ、うん」センセも快く引き受けてくれました。
でも、なんかセンセ書きにくそう。
マジックを持った右手を板の方に伸ばそうと四苦八苦なさってます。
(・・・?)
・・・・・・・・・。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。
あ。
大切な事を忘れていた!
水木センセは右手しか使えないんだった!!(TAC減点100)
水木ファンならずとも、これは有名な話なので知ってる方も多いと思いますが。
センセは22歳の時に左腕を失っておられます。
徴兵され、送りこまれた南方の激戦地ニューブリテン島ラバウルにて、敵軍の空襲を受けたのです。
部隊は全滅。その後、マラリアなどに苦しめられながらもたった一人生き延びた水木センセは、その頃からやはり「妖怪がかり」な天運の持ち主だったようです。
TACが板を支える事で、なんとかサインを描いて頂く事が出来ました。(→)
・・・それにしても・・・まったくもって失敗だったなぁ。思慮が足らなかった。
ああ〜〜〜ヤバいなあ〜〜〜。
センセの気分を害してしまったんじゃないかなあ・・・。
・・・ん?
渦巻いてます。
っしゃああああああああああああああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜っっっっっっ!!!!!!!!(全壊)
感涙にむせびながら運転するTACと水木センセを乗せて・・・百鬼夜号は夕闇に沈みゆく境港の町を行く。(まだ発車してから100mも進んでません)
記念館は境港商店街のド真ん中にあります。
ただこのアーケード内は一方通行なので、車で行く場合ちょっと迂回する必要があります。
記念館通りに入る為にカーブを右へと曲がった時でした。
センセがボソッと御言葉を発したのです。
「・・・・・・∃⊆♂〃Δ仝」
「はい?」
「‰Φ〓∴ヾ〜ふぃるむ∈∂≡†Ω」
境弁レベル高し(泣)。
またしてもヒアリング失敗です。なんとか「フィルム」という単語だけは聞き取れましたが後の部分が判読不可。
落ち着けTAC。センセが何を言いたかったのかよく考えろ。耳に頼るな。心で読み取るんだ。
フォースを感じろ。
フィルム・・・?そういえば今の曲がり角の所にカメラ屋さんがあったような?
あれこれ考えを巡らせているうちに、そこから50mほど直進した地点で先導していた黒目さんの車が停車。記念館の20mほど手前の場所です。
車を降りてきた黒目さんに「入場の合図があるまでココで待機してて」と言われます。
そして彼の車に乗っていた他のメンツも、先に会場入りする為に車から降りてきました。TACここぞとばかりに車から飛び降り、布枝夫人を呼び止めます。
「あの、すみません!先ほど先生が何かおっしゃってたみたいなんですけど!」
夫人がセンセに話を聞き、通訳してくださいました。
「ああ、フィルム切らしちゃってね。店を探してたのよ。さっきの角にカメラ屋さんがあったもんだから」
なるほど。
「すぐそこだし、私が買ってきますわ」
夫人はそう言うと、カメラ屋さんの方へスタスタと歩いて行かれました。水木センセ、助手席で何度も振り返っては夫人の後ろ姿を心配そうに見送っています。ああ、奥さん想いの優しい人なんだなあ・・・・・・。
黒目氏他、水木プロの皆さんは先に会場へと移動。さあ、そろそろ式典が始まる時間だし、俺もスタンバっておくか・・・と、百鬼夜号に乗り込んだTAC。ふと隣を見ると水木センセがいない。
・・・・・・・・。
せせせせせせせせ先生ぃ!?!?
どどどどどどどどどこへ消えた!?!?!
慌てて車から降りると、なんとセンセ・・・奥さんを追ってカメラ屋さんに向かってるではありませんか。
ちょ・・・っ、ちょっと待ってくださいよセンセぇ!!(泣)
ドコ行くんですかぁ〜〜〜〜〜っ!!(大泣)
もうすぐ出番なんですよぉーーーっ!!(アンタも泣け)
TAC猛ダッシュ。センセを必死に呼び止めます。
「ボクが!ボクが行きますから!どうか先生は車の中で待っててください!」
センセ、とっても素直に百鬼夜号へと引き返す。
ああ良かった。ココでセンセを見失ったら俺、記念館スタッフの皆様と内覧会参加者全員に袋叩きである。
とにかくセンセを安心させる為、奥さんを追ってTAC再ダッシュ。
カメラ屋さんの前に来て店内を覗くと、夫人は既にフィルムを買って精算しているところでした。
もう時間も無いってーのに結局、何しに来たんだ俺。
まあいいか、このまま引き返すのもナンだし、荷物でもお持ちしよう・・・いや、待てよ。
現在センセは一人である。
しかも無防備に路駐された、異様に目立つ車の中である。
20mも離れていない記念館の門前には、閉め出しを食らっている何人かのファンがたむろしている。センセが一人でいるところを彼らに見つかったら・・・まさに蟻ンコにたかられるケーキ状態。
そんな事になったら俺、記念館スタッフの皆様と内覧会参加者全員に八つ裂きにされる。
TAC再々ダッシュ。慌てて百鬼夜号まで戻る。泣きながら。
まだ出番はこれからだというのに、50mスプリントを3本もやっちゃってTACさん既にバテバテのゼイゼイ。
「ぱとラッシュ・・・僕、もう疲れたよ・・・なんだかとっても眠いんだ・・・」←(だから古いっちゅーの)