第七章 「割り込み、出演、強襲――イロイロあった日々」
目を覚ませば、腕枕されてるのは何故だかいつも俺の方。
TACです。
北海道での式が終わって、すっかり「ふ〜、やれやれ御疲れ様どしたモード」に入ってる二人。
しかし披露宴は5月にもう一回ある。
札幌場所は殆どがヨメ側に任せっきりで参列者も先方の親族ばかりだったのに対し、岐阜場所は地元や九州(母の故郷)の親族を招待する予定のため、両親はむしろこちらの方を”本番”としてやたら気合を入れている。
TACとしても、札幌には招待できなかった地元の親友たちやネ友らを呼ぶのだから重い腰を上げざるを得まい。
時間もあまり無い。つか、全然無い。5月27日のXデーまで、まだまだバタバタしなければならないようだ。
しかし、この期間は他にも実にいろんな事が起きた。ちょっと振り返ってみる。
【イトコの割り込み結婚式】
妖怪百鬼夜号計画を読破している方なら御存知だろうが、TACにはぼっくんというイトコが居る。百鬼夜号の屋根をドリルでブチ抜いたあの野郎である。
そのぼっくんにはアキト(仮名)という弟が居る。
なかなかのイケメンで、タッキーとKABAちゃんを足して2で割った――でもどっちかってーとKABAちゃん寄りなヤツである。ホスト歴有り。当然オンナにモテる。
ゆえに、一族の中で「いつまでも結婚しそーにない男No.2」と言われていた。もちろんNo.1はTACだったわけだが。
3月の結婚を間近に控えたある日、そのアキトがTACの職場に訪ねてきた。
TAC
「おお、どうしたんだ突然。何か用か?」
アキト
「TACちゃん・・・ちょっと尋ねるけどさ。TACちゃんの結婚式て何月にやるんだっけ」
TAC
「式は三月だ。でもこっちでも一応五月あたりに披露宴やるつもりだけどな。それがどーした?」
アキト
「うん・・・実はさぁ・・・」
TAC
「まさかオマエ、オンナ孕ませて急遽オレより先に結婚することになっちゃった☆とか言うんじゃあるめぇな?」
――当然、これはジョークのつもりで言ったのだ。
アキト
「うん。そーなんだよね」
TAC転倒。
TACとぼっくんの間では、「アキトは絶対できちゃった婚しかねぇだろな」「どうなるか賭けようぜ。できちゃったの方に一本握る」「じゃあオレもそっちに」「賭けが成立せんじゃないか」といったやりとりが過去に何度かあった。
まさか本当にその通りになるとは思わなかったわけだが。
TAC
「相手は誰だ。Sちゃんか?」
アキト
「・・・うん・・・」
TAC
「オマエなぁ・・・周りからさんざん言われた通りになりやがって。恥ずかしくないのか?」
アキト
「あの時、手を繋いだのがダメだったんだ・・・手を繋ぐだけで子供ができるとは思わんかった」
TAC
「ンなワケあるかい。やる事やってんぢゃねーかドアホゥ」
アキト
「そんなわけで悪いけど、俺ら四月に結婚することになったんよ。割り込む形になるけど、ゴメンね」
TAC
「まったくメイワクな。親族の皆が五月のオレの披露宴の為に今からお金貯めてンだぞ。全部オマエの祝儀に持っていかれたらどーすんだ」
アキト
「TACちゃんもいろいろお金が要る時期に悪いけど、祝儀だけはヨロシク☆」
TAC
「・・・なぁ。俺たち、お互いの祝儀は相殺ということにせん?」(半分本気)
――そんなワケで四月。
自分の披露宴の準備に忙しいっつーのに、ウェルカムボードまで製作して、人の結婚式に参列してきましたよまったく。
二次会にもしっかり出てきましたよ。ビンゴで夫婦ともども米20Kgゲットしちまったよ。二次会会場から米袋を肩に担いで出てくる夫婦の姿ってどーよ。でもちょっと助かっちゃったよ。
美男美女の新郎妊婦ですた。生まれてくるガキもきっと可愛いだろう
。
まあ、頑張って幸せになりやがれ。
・・・それにしても。
一族の中で最も結婚しそうになかったヤロー2名が立て続けに結婚。
この年はきっと何か恐ろしいことが起こる・・・!
と、一族の中では結構マジに心配する者が絶えなかったとか。失礼な奴らだ。
【 シークレットだらけの披露宴準備】
既にお気づきの方もいるだろうが、TACの一族は昔から芸達者なヤツが多い。
mixi日記で恐縮だが(会員の方以外は閲覧できません)、父も母も妹もこんな感じだ。
そんなワケで五月の披露宴における余興に関し、こちらで考える必要は 全くなかった。本来こういうものは、当日招待している大勢の友人たちにこそ依頼すべきなのだろうが、 根っからのエンターテイナー・・・と言うよりただの目立ちたがりが身内に揃っていたからである。(TACが言ってもイマイチ説得力に欠けるが)
母
「私、歌うから」
TAC
「・・・頼んでねぇぞ」
妹
「私もなんかやるよ。時間作っといてよね」
TAC
「頼んでねぇっつの」
母
「私のカラオケの師匠(プロ)も歌ってくれるって。あと、お抱えの歌手さん(プロ)も連れてきてくれるって」
TAC
「リサイタルやる気かよっ!」
妹
「お姉ちゃんとかシローさんも誘おっと。ナツキやアキトはどーかな・・・振り付け覚えられるかな・・・」
TAC
「踊る気かオイ!」
・・・前言を訂正する。
「考える必要がない」んじゃなくて、こちらに「選択の余地がない」だけらしい。
ぼっくんも友人のブータンと組んで何かを企んでいるらしい。
まあ、あの二人が何をやるのかといえば大体バレバレなんだが、楽しみと思う半面――拭いきれない一抹の不安。
だいたいTACの一族は芸達者である以上にネタ大好きイタズラ大好き体質なのだ。コラそこの君、俺の顔見て頷き過ぎだ。
――というワケで、余興担当者の欄はアッと言う間に埋まった。
ただ、どいつもこいつも何をやるかは当日まで内緒らしく、教えてくれようとはしなかった。
妹も、TACが会場ホテルに打ち合わせに行く日を聞き出しては「その日は私たちも2Fでリハーサルやってるから絶対会場に来ないでよ!!」と念を押してくる。
余興をやるそれぞれの人間が、それぞれの計画を秘密裏に進めていた。
その全てを把握しながら秘密を守り通さなければなかったホテル側としては実にやりにくかったに違いない。
そう――秘密裏に計画を立てていたのはなにも彼らだけではなかった。
これは少し後の話だが、新居への引越しで運び込まれたヨメの荷物の中に・・・TACがそれを見つけてしまったのである。
ヨメがかつてヤフオクで購入したというそれは、しかしサイズ的に彼女には少々キツかったらしく、「いつかのネタ用に」と永い間ダンボール箱の底に封印されていたものだった。
それを目にした途端、TACの脳裏には閃光のごとくある妙案が沸き起こった。この披露宴で自分が何かネタを仕込むとしたらコレしかないと思った。
・・・ただそれを実行することは、自らの手で古傷に塩を塗りこむ行為に等しかった。
もちろん、当日まで絶対誰にもバレてはいけない。
(・・・これも宿命か・・・いや、業だな)
自らの悲しい性(さが)に苦笑しつつ、ヨメに一つ提案した。
TAC
「なぁ・・・・、今度の披露宴・・・もう一回ドレス色当てクイズをやらないか?」
【まさかのテレビ出演】
最初にその電話があったのはいつの頃だったか。
相手は東京の製作会社の人だったが、担当しているのは東海テレビの某番組。東海地方の各地を巡って、それぞれの街の隠れた名スポットや魅力を「再発見」するのがテーマのローカルバラエティである。
「このたび美濃市を紹介することになりまして。何か変わったモノ売ってる店とか無いかな〜とネットで調べてたら・・・貴社のHPがヒットしまして」
つまりこう言うことだ。
「妖怪掛軸総本舗」を見つけてしまったのである。で、珍しいので番組内でゼヒ紹介させて欲しいと。
モチロン願ってもない話だった。
今までにも取材を受けたことはテレビ・雑誌・新聞・ゲームなど何度かあったが、その多くは百鬼夜号に関するものだった。それらは百鬼夜号と我が社の名を世間に広く知らしめてくれたが、実益(仕事)に直接結びつくものではなかった。(そりゃ車に妖怪描いて欲しい人など、そう居るはずもない)
もともとマイナー商品。でも妖怪掛軸がもしテレビで紹介されたらお客さんが増えるかも。
つか、何より芸能人と会えるチャンスじゃないかっ!
そんなわけで取材の件は簡単に了承した。
一度スタッフだけで美濃のロケハン(現地取材)があるらしいので、その時にウチの会社に来るらしい。日程と時間を確認し、電話を切った。
ちなみにTACはテレビをあまり観ない。
モーニング娘。のメンバーの名前は一人も言えないし、「V6」と「TOKIO」の区別も付かない。カラオケレパートリーの最新曲がポルノグラフィティの「ネオメロドラマティック(2005年3月リリース)」だし、未だに「ロビンソン?ああ、スピッツ歌ってた人ね?」と素で答える。
TACが「そういえば最近見ないな〜」と思ってたら実は何年も前に死んでたという芸能人もかなり多い。
筋金入りの芸能界オンチである。
TAC
「今度ウチに石原ヨシジュン?と、夏川純が来るかもしれないよ」
ヨメ
「それはスゴイねぇ・・・って、オイ。石原ヨシズミでしょが」
TAC
「ああ、そうそう。ちゃんと知ってるよ。ユージローの弟だっけ」
ヨメ
「ユージローの兄貴の息子だ。親等が2つも先だ」
TAC
「知ってる、知ってるてば!お天気お兄さんだよね、確か」
ヨメ
「・・・夏川純の方はちゃんと知ってんの?」
TAC
「・・・・・・・・・・・・・なだそうそう?」
ヨメ
「それは夏川りみだろ。夏川純は消費者金融のCMに出てた子だよ」
TAC
「ああっ!レの子だ!ハンドル回してミニスカートになったり、タイムカプセルとさくらんぼ一緒に埋めてた子だろ?」
ヨメ
「なんでそーゆートコだけはしっかり覚えてやがんだ」
――まあ、どちらも今が旬の有名人である。
百鬼夜号のテレビ出演は2回目だが、タレントとの共演は初めてなので楽しみ。
夏川純のサイン貰えるかなぁ・・・(良純さんの方はいいのか)
後日、スタッフがカメラマン連れてロケハンにやって来た。
工場の、一応アトリエとして使ってるスペースに案内し、いろいろ説明する。
紙は美濃特産の手漉き和紙、塗料は墨を水に溶いたものを使ってエアブラシで描いていることや、実際にちょっと描いて見せ、作業の雰囲気など。
彼らも結構興味を示してくれたようで好感触。プレゼン用に何枚も写真撮影して、「これはぜひ番組内で大きく取り上げたい!」と意気込みを見せてくれた。
今までマニア向けだった妖怪掛軸にもついに日の目を見るときが・・・!と、TACも俄然嬉しくなってきた。
しかし。
帰り際、スタッフが見つけてしまったのである。
駐車場に停めてあった百鬼夜号を。
スタッフ
「うわ。何スか、これ?!」
TAC
「ああ、これは百鬼夜号と言いまして云々、妖怪の掛け軸を描き始めたのはそもそもコレがきっかけで(中略」
スタッフ
「ふんふん、それで?」
TAC
「こいつのおかげで水木先生とも(かくかく)ついでに嫁さんまでゲットしちゃいまして(しかじか)」
スタッフ
「スゴイですね!ちょっとコレも撮っていってイイですか?」
TACはこのとき機嫌が良かったので気前良く説明していたが、このあたりから少し雲行きが怪しくなってくる。
――後日、先方からかかってきた電話。
スタッフ
「企画通りました!ロケは5月●日で、放送は6月の予定です。石原さんと夏川さん連れて美濃に撮影に行きますので、当日はよろしくお願いします!」
TAC
「(・・・披露宴の一週間前か・・・)お二人がウチの工場に来るんですか?」
スタッフ
「いえ、時間の都合上・・・二人が美濃の古い町並みを歩いている時に偶然駐車場に停めてあった百鬼夜号を見かける、というパターンにしようと思いまして」
TAC
「はぁ。(会社の紹介はナシか・・・)そこでボクが二人と話すわけですか」
スタッフ
「はい、二人が百鬼夜号について色々質問しますのでそれに答えるという方向で。あと、二人が次に向かうスポット・・・一応道三温泉を予定してるんですが――それをTACさんの口から紹介して頂きたいですよ」
TAC
「(全部シナリオが出来てるというワケか・・・)まあ、イイですけど・・・あの、ところで」
スタッフ
「はい?」
TAC
「妖怪掛軸の紹介に関してはどうなったんでしょう?」
スタッフ
「ああ、すんません。今回はそれナシということで」
妖怪掛軸拡販計画、いきなり頓挫。
まあ、彼らが百鬼夜号に興味示したあたりからそんな予感はしてたんだが。
スタッフ
「あ。あと、それからですね・・・奥様にも出演していただけないでしょうか?」
TAC
「はぁあ??」
スタッフ
「いや、あの車の縁で出会ったなんてロマンチックだなぁと思って。ちょっとそのへんの話を聞かせてもらうだけでもいいんですよ」
TAC
「全力で不可能だと思われます」
なんだかどんどん話が予想外の方向に流れはじめた。
しかし、ちょっと面白い提案も出た。
スタッフ
「あの、もしよろしかったら・・・二人を百鬼夜号に乗せてあげてもらえませんか?次のスポットの道三温泉まで」
TAC
「ええ??」
スタッフ
「その道中、車内での3人の会話を撮りたいんですよ。そこで妖怪のことや結婚の馴れ初めなんかを話していただければ」
前回のテレビ出演は広島のニュース番組で僅か15秒程度のインタビューだった。今回はなんか長くなりそうな予感。
はっきり言って小っ恥ずかしくてイヤだが、百鬼夜号の車内撮影というのは面白そうだ。
――その夜。
さりげなくヨメにテレビ出演依頼の件を聞いてみたが、案の定・・・あやうく殴られそうになった。
ロケ当日。
いつもより早起きして工場に向かう。なぜなら撮影スタッフが朝一で百鬼夜号に車載カメラを設置しに来るのだ。
百鬼夜号のトランクルームに、車内の音声と画像を同行するスタッフカーの記録機器へ無線で送信するための発信機を設置。
プロなんだから当たり前のことなんだが、かなり本格的。
助手席の頭上とダッシュボードにカメラ設置完了。
ガタイの大きい良純さんが座れるように後部座席の座布団なども撤去。
ここまで入念に下準備しといて、「二人が偶然百鬼夜号を見つける」などと良く言うよな。・・・大体、脚本でTACが二人に道三温泉を紹介するというこの筋書きにしたって、スマン。正直に告白するとオレ行った事ないんだ。
――テレビ番組ってつくづく”エンターテイメント”なんだと今更ながら思う。
午前中は普通に仕事をし、正午近くになってから事前に伝えられていた「現場」へと移動。
うだつのある古い町並みの真ん中に位置するその市営駐車場には、スタッフの人が一人待ってくれていた。さっそくピンマイクをツナギの内側に仕込まれるTAC。
これで「偶然そこにいた人」を演じろとはホントによく言
大体平日の真昼間にツナギ着た男がこんな場所でナニやってんだと。
どう優しく見ても仕事サボってます。本当にありが
現在、良純さんと夏川さんは別の場所にある定食屋さんで「昼食のシーン」撮影中につき、まだ来ていない。
なんでも長良川での釣りシーンの撮影が予想より長引き、かなり時間が押しているという。このへんからイヤな予感がしてくる。
その後、幾度となく無線で連絡しあうスタッフの焦った口調を聞くにつれ、予感は徐々に確信へと変わる。
まさしくロケは分単位のスケジュール。この後の道三温泉のことを考えると、もう殆ど時間が無いようだ。
やがて、百鬼夜号の陰でスタンバっているTACにスタッフが申し訳無さそうに話しかけてきた。
スタッフ
「あの・・・すいませんTACさん。申し訳ないんですが」
TAC
「へい」
スタッフ
「前の撮影が長引いちゃってもう殆ど時間がなくなっちゃったんですよ」
TAC
「ここのシーン、中止ですか」
スタッフ
「いえ!もうすぐ石原と夏川が来ます。ここでのシーンは予定通り撮るんですが」
TAC
「百鬼夜号に乗せるのは中止、と」
スタッフ
「はい・・・ココが終わり次第、すぐ道三温泉の方に飛んで行かなきゃならなくなってしまって」
TAC
「車内の撮影なんかしてる暇はありませんね」
スタッフ
「本当にごめんなさい。車載カメラ、外しますね」
で、スタッフ3人がかりで早朝取り付けた装置をまた外しにかかる。・・・まったく御苦労様なことだ。
やがて二人がカメラの前で和やかに話しながら、町並みを歩いてくるのが見えた。
慌てて百鬼夜号の陰に隠れる。(後で考えてみたら隠れる必要は全然無かった)
夏川さん
「?何アレ〜〜〜〜!?ちょっと見て下さいよ!」
良純さん
「よく見たら妖怪じゃん」
夏川さん
「あ、ホントだ〜」
(キタ−−−−−−−−−−−−−−−)
百鬼夜号のリアハッチを開けてわざとらしく何かの作業をしているふりをしていたTAC、さも意外そうに「わっホンモノだ・・・」と声を漏らしつつ二人の前に歩み出る。
もうカメラは回っている。
石原良純さんは想像より全然デカくて、声もデカい。冗談も交えつつ終始フレンドリィに話してくれるナイスガイな人だった。
夏川純さんは想像よりウンと小さくて、可愛らしい。リアクションは少女のようで百鬼夜号にとても驚いてくれていた。
撮影は10分弱くらいだったと思う。最後に「どこかワクワクするような所、知りませんかね?」という二人の問いに、「じゃあ、一年前くらいに出来た温泉みたいなのがあるんですけど」と道三温泉を紹介し、礼を言って去る二人を見送った。
――ここで収録された会話の多くは放送分でカットされたが、その中で一つこぼれ話をすると。
会話に流れの中で、この百鬼夜号が縁でヨメと知り合えた経緯と一週間後に披露宴を控えている旨を話したら二人も「おめでとう〜!」と喜んでくれて握手。
別れの際には、二人で「♪ぱぱぱぱ〜〜ん、ぱぱぱぱ〜ん♪」と合唱してくれたりしたのだ。
これはちょっと嬉しかった。
放送は6月23日夕刻に、無事放送された。
TACはその時ヨメとショッピングに出かけていたのでリアルタイムでは観ていない。(やる気ねぇー)
あとからビデオで観たが、出演中のTACは風と日差しで終始しかめっ面のヒドい有様だった。二度と観たくない。
(画像提供:ゆいさん)
・・・・・・・妖怪お兄さん・・・・・・・orz
とりあえず「お兄さん」と呼ばれただけマシと思うことにする。
――そして、結局TACがテレビに映ったのは前回同様15秒程度だった。
(追記)
上の画像をキャプチャーしてくれたCruiseのゆいさんが、動画を圧縮しようとしたらパソが原因不明の発火。
マザーボードの一部が焼け焦げたらしい。
恐るべし百鬼夜号の呪詛返し。
つか、とっととその動画をHDDから永遠に削除してくださいマヂで。
【狭いながらも楽しいだがや】
披露宴当日は、当然ヨメの両親が岐阜に来る(兄弟はNG)。あと、札幌での式には都合により来れなかったヨメのヒデヨ叔父さんも来る。
彼らを泊める為にも、当日までに新居となるアパートに入居完了しておきたい。
母と共に市内の賃貸物件を日々渡り歩いたヨメの努力の甲斐あって、なんとか一つのアパートの部屋をキープすることが出来た。
2LDK。職場にも割と近く、2階の角部屋なので玄関前を他人が通過することも少ない理想的な環境。
ちょっと難を言えば、カウンターキッチンの奥行きが狭くて冷蔵庫入るのかしら?ってコトと(問題です)、玄関正面にある居間への扉が柱の歪みで完全に閉まらないこと(←大問題です)。・・・まあコレは勝手に突貫工事で解決させた。(いいのか勝手にそーゆーコトして)(いいのだ)。
あと、すぐ近くに東海北陸自動車道の高架がそびえており、東海大地震が起きた際にこっち倒れてきたらヤバいかもと心配したりしたが、届いたとしても玄関先を掠めるくらいで多分大丈夫だろう(←大問題です)。
後で知った事だが、この部屋はチョット前に結婚した前述の親戚アキトも新居に狙っていたそうだ。
やつらが迷ってるうちに、そうとは知らぬウチのヨメがさっさと契約。結果的に横取りしてしまったのだ。これぞ割り込み返し。
とにかくこれでハコは用意できた。あとはホームセンターや電器屋さん巡りして家電その他生活用品を揃えることだ。コレが一番大変なんだけどね。
TACの家から持って行ける物は限りがあるし、そもそも大した物はない。洗濯機や冷蔵庫は間取りの寸法をキチンと測って新しく買わねばならぬだろう。テレビはとりあえず家の古いのを持っていくつもりだが地デジ対応ではないので近いうちにプラズマでも買う予定。まったく金かかってしょーがねぇなオイ。
ただ、エアコンは備え付けのが一台あるので助かった。食器類も親父の知り合いからお祝いで貰ったセットで殆ど揃ってしまい、これも助かった。
・・・一方、披露宴の準備は各方面で勝手に順調に進んでいるようだった。
ぼっくんはブータンとの余興の他にもウェルカムボード製作まで請け負ってくれている。
ヤツの結婚式の時は俺がボード作ったので、まあそのお返しというやつだ。
そういえば義弟のシローも何か作ってくれてるらしい。先日TACとヨメの昔の写真を大量に持ち出していったから、おそらく披露宴で流すビデオの編集をしてくれているのだろう。
招待状の送付はもう完了している。つか、両親が殆どやってくれた。
友人関連では札幌には来られなかったTACの旧友・親友たちの他、札幌にも来てくれたShunさんとやよいさん。そして馴染みのネ友代表としてすのぴ夫妻、彼方君、富山の松さん、福山のSYOさんが来てくれる。
親友ヤーマとすのぴに友人代表挨拶をお願いした。両者とも快く引き受けてくれた。
あと、TACが考えなければならないことが一つあった。それは、キャンドルサービスに替わる何かである。
札幌の披露宴でやったルミファンタジーの類は二度もやりたいとは思わなかった。しかし、最後に各テーブルを回って皆に感謝の気持ちを示す何かはしたい。
――となると「何かを配る」というカタチしか思いつかなかった。
それも出来るだけ縁起が良くて、見た目も可愛いもの。可能なら幾つかのバリエーションがあって「誰に何が当たるかお楽しみ☆」要素も欲しい。
「・・・そうだ。ミカりんに頼もう」
TACの知り合いにヤスエミカという名の造形作家がいる。
元々はTACが通っていた画材屋さんの雇われ店長だったのだが仲良くなり、かつて何人かの仲間とフリーマーケットのサークルを作ったことがある。このときTACは独学で始めたばかりのエアブラシ色紙画を、彼女は紙粘土で作った可愛い招き猫(通称:豆猫)をオリジナル商品として持ち寄っていた。
彼女は結婚後も地道に創作活動を続け、実に多種多様な豆猫を作り続けた。
もともと造詣が深かった風水にちなんで、豊富なカラーバリエーションが揃っている。一つ一つが手作りで丁寧に彩色してあり、その愛らしい表情が人気を呼んで雑誌での紹介や個展も数多くこなしている。
彼女の豆猫なら、皆喜んでくれるに違いない。
彼女にメール。
「君の商品の中で一番ちっこい豆猫、現在幾つ在庫ある?」
すぐに返事が来る。
「正確な数は把握してないけど結構あるよ〜。なんで?」
TAC
「90個ほど買い占めたい。お値打ちに頼む」
ミカりん
「披露宴で使うって?だったらお金なんか要らないよぅ。お祝いってことで」
TAC
「数が数だからそーゆーわけにはいかん。気持ちだけ受け取っておくから。当日までに間に合うかな?」
ミカりん
「任せてください!御二人の為なら頑張って作っちゃいます!」
TAC
「ああいや、わざわざ作らなくても今ある在庫でいいんだ。90個に足りないならその分だけ作ってくれればいいし・・・あ、もし可能なら全色をバランス良く揃えてくれると助かっちゃう」
ミカりん
「大丈夫!任せて〜〜」
後日、彼女から写メールが届く。
「出来たよ〜〜〜〜♪
全部一から作ったド新品です!」
ざっと90個
うっそぉっっ!!!(゜Д゜;)」
マヂかよ・・・ミカりん仕事早過ぎだよ・・・クオリティ高過ぎるよ・・・。
――引越しは少しづつ・・・しかし確かに進んでいる。
休日などを利用して、何度かに分けて新居に運び込まれる荷物。今回特に思い知ったことは、漫画をギッシリ詰めた段ボール箱って腰が抜けるほどに重いのな。
さて、そんな中でふと見つけたこのTシャツ。
これは、TACが所属する(社)美濃青年会議所が企画した自転車競技イベント「チャリンピック2007」の賞品用に作られたもの。中央のエンブレムはTACデザインだ。
メンバー全員がお祝いの寄せ書きをしてくれたものを、札幌披露宴終了後の客出しの時に親友つーくんから直接手渡された。
予想外のプレゼントに、思わず目頭が熱くなったものだ。
「あぁ、こんなんあったなー」と懐かしんでいると、裏に一人だけこっそりカキコしてあるのを発見。
・・・ん??
(もちろん男)
・・・・・・・・・み・・・・・・・・・・・・・・・・みっちゃん・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・orz
気持ちはありがたいけどキモチ悪いです。
そ、そんなこんなでなんとか5月中旬には入居完了!
狭いながらも楽しい我が家。
なんか既に生活感ありまくり。
【前日――強襲!Cruise】
披露宴岐阜場所を間近に控えたある日、富山の松さんから郵便が届く。
バブルシートに梱包されたその中には、一枚のDVDが入っていた。
さっそくヨメと共に視聴。そして、唖然となる。
あの名曲とともに展開されるプロジェクトX風オープニング。
次々と現れては消えていく過去のオフ会写真とテロップ。百鬼夜号誕生から二人の出会い、そして結婚に至るまでの流れを見事な演出で描いている。
後半は、これまた名曲「ヘッドライトテールライト」にのせて――松さんが必死にかき集めてくれたのであろう――日本各地から寄せられたみんなの温かいお祝いメッセージが収録されていた。日本地図から当該地へズームインしていく演出がニクい。
福山のDACK2姐さんとはっちー、境港からは目玉マスター、魔女カオルさん、入道さん、そして鬼太郎茶屋のシゲ子おばちゃんと荒木のおばあちゃん!
富山当地からは松さん夫妻、のぶひこさん夫妻、じょにいさん、Sueさん、MAXXAMさん・・・。
皆、このためにわざわざ集まって撮影してくれたのだ。ビデオ編集に時間を割いてくれたのだ。TACの知らないところで。
二人とも、感動通り越して大ウケ。
にょこさんのアカラサマなカンペ目線に爆笑してしまった。
松さんとSueさんのコンビは、過去のCruiseVIDEO(彼らのツーリングチームPV)を観ても判るがプロ顔負けの神編集である。
ホント才能の無駄遣いとはまさにこの事。
・・・・と同時に「もったいない」と思った。
これだけのクオリティ高い映像作品を、俺ら二人だけで楽しんでるなんて。
なんとか披露宴で流せないものか?
披露宴オープニングを飾る、二人の生い立ちを写真で綴ったビデオは義弟のシローが既に作ってくれていた。
だいたいもう日が迫っていたため、当日のスケジュールもほぼ決まっている。
でも、どうしてもコレだけはネジ込みたかったのだ。
翌日、ホテルと司会に電話。
なんとかお色直しの間に流す方向で調整することが出来た。ぃよっし、ウケるぞきっと。
松さんに感謝。他の皆にも感謝。
――電話してしまってから気付く。
待てよ?・・・・・そういえば確かあのビデオの中に・・・・・・
境港オフで、二人してメイド服着た時の写真があったんじゃね?
Σ( ̄□ ̄;
家族どころか一族郎党に見られちまうんじゃね?
・・・ま、いいか・・・(時すでに遅ェしな)
そして26日(土)。披露宴岐阜場所前日。
富山から車で来る松さんと広島から新幹線で来るSYOさんは、本日美濃入りの予定である。宿は式場ホテルに既に取ってあるのでいつでも来やがれである。
松さんの到着は早くとも昼過ぎだと聞いていたので、TACはノンビリと・・・人を招くにはまだまだ段ボール箱が目立ち過ぎる新居の片付けをやっていた。うん、披露宴前日にやることぢゃないよね。
嫁さんは所用でどっか出かけてるし、ぼっくんがカーテン取り付けに来るって言うし、出るに出られず一人黙々と作業を続けるTAC。「・・・さてと、缶コーヒーでも飲んで一服するべか」
そんなことを考えてた時に、携帯が鳴った。
送信者 | 松下幸 |
題名 | 到着〜 |
本文 | |
クルーズ参上! |
ゲッ、ゲホッゲフッゲフゲホ・・・ッッッ!!
な、なんで、なんで皆いるの!?!?う、後ろ・・・ウチの工場じゃねーか!
来てるのか?みんなマジで美濃に来てるのか???
ライネス君(左端)の年季入ったヤンキー座りがイカす
松さんが主宰を務めるカークラブ「Cruise」の面々。
拠点は富山だがメンバーは各地に散らばっており、遠い所では・・・確かじょにぃさんが新潟、ライネス君は兵庫の人のはずだ。
全員が車で駆け付けたと言うのか?わざわざ俺を驚かせるただそれだけの為に??
慌てて松さんに電話する。
松
『はいはい〜ども〜〜〜』
TAC
「ちょ、まっ・・・・アンタら何やってんだっ!」
松
『リアルで「ちょ、まwww」を聞けるとは思いませんでしたぜ旦那』
TAC
「なんでみんなついて来ちゃってんの??マジでウチの工場にいるの?この写真合成じゃないよね?」(←自分でもアホなこと言ったと思う)
松
『なんでって、ツーリングっすよ。ツーリング』
TAC
「ネタの為にそこまでやるか・・・今どこにいんの!行くから!すぐそっち行くからっ!」
カーテン取り付けにやってきたぼっくんにいきなり留守番を頼み、百鬼夜号で彼らが待つ近所のジャスコ駐車場へと向かう。
遠方から見てもすぐソレとわかるヴィヴィットでカラフルな一区画を確認。
うわぁ、ホントにみんないるよぅ〜〜マジかよぅ〜〜。
明日の披露宴に招待されている松さん以外は、当然このままトンボ帰りのはずである。300kmの道のりを。
TACを驚かせる・・・というか、彼らなりのお祝いを伝えるただそれだけのために、わざわざ来てくれたのである。300kmの道のりを。
アフォですか。
でもありがとう。大好き。
じょにぃ珍、ライネスくん、Sueさん、ゆいさん、こもさん、ZEBRAさん本当に大感謝!
――その夜は実家にて、松さんとSYOさんを交えたTAC家親戚一同で前夜祭。
それが終わってアパートに帰投後も、松さん・SYOさんはヨメの父と叔父さんに付き合って更に飲み明かした。
完全にアルコール袋と化してホテルへ帰る二人。
・・・大丈夫かしら。
つか、明日ホントに本番なのかしら。←(自分が一番実感ナシ)